タグ:カイメイ
425件
6
かくかくしかじかこんなことがあって、と昨日の流れをざっと説明する。聞き終えたリンはあー、と気の抜けた相槌をして腕を組んだ。
「それで逃げちゃったと」
「情けないわ……」
しゅんと肩を落とす。昨日の朝の決意はなんだったのだと自分でも思うけれど、でもやっぱり怖いものは怖くて。仕方ない...君の音楽 #6
うたかた
誕生日からいったい何日たっただろうか。
一週間? それ以上? もう数えることをやめた。
僕には酒好きの彼女がいる。
彼女の去年の誕生日には花束とケーキを夜中に届けに行ったのだが。
彼女からのお祝いの言葉や贈り物が届けられることも気配も一向になく、彼女がいる身にしてはとてつもなくさびしい誕生日だったこ...マフラー 【イズミ草】
イズミ草
---A frog in the well knows not the sea---
ボクは水の中にいた。
ゴボリ、とボクの口から白い泡が漏れた。
だが不思議と息は苦しくなかった。
滲む視界には人はおろか、魚一匹が泳ぐ姿すら見当たらなかった。
どうやらこの世界は完全にボク一人だけのものらしい。
ボク...【カイメイ】A frog in the well knows not the sea
雪りんご*イン率低下
昼休みに、いつものように3人で教室で昼食を食べていたときだった。
「明日はバレンタインかー」
蓮がバナナジュースの紙パックのストローを口に離してからそう呟いた。
きょとんと呟く僕らに、レンは無邪気な子どものように目をキラキラさせた。
「去年みたいに女子からチョコをたくさん貰ったせいで、グミにあらぬ疑...【カイト誕】フォンダンショコラ【カイメイ】
雪りんご*イン率低下
2013年2月15日……。
新たなフィールドを得たあの日から、俺は不思議な夢を見始めた。
折に触れ何度も見る夢。
明るくて、暗い。
温かいのに、冷たい。
完全な静寂と、萌えいずる喧噪。
よく知っているはずなのに、始めて体験するような感覚。
舞い上がるような喜びと、押しつぶされるような...Birth~無音の声 無色の緋~ 心象描写「So-La 2013 」
聖 京
言葉を編み繋げるような美しい旋律がふたつ、折り重なって虹のように空間に放たれていく。
メイコとカイトはスタジオのソファに並んで座り、時折視線を合わせては微笑みながら、伸びやかな歌声を響かせていた。
初代として生まれたMEIKOと、次世代として生み出されたKAITOである。
エンジンは違う。だがお互い...【カイメイ】 逆光の海
ねこかん
ひらひらひら。ひらひらひら。
空から舞い落ちる雪のような花弁。白、桃色に、薄紫が入り混じり、その中心で可憐に身を翻し笑顔を振りまく花嫁を、たえまなく彩ってはそっと地面に積もりゆく。
くるくるくる。くるくるくる。
背景には小さな教会。雲一つない青空は花嫁の瞳の色をそのままに映し出して、なお澄み渡り。...【ぽルカ】シスター・ウェディング・コンプレックス【カイメイ】
ねこかん
「うー、さぶい。」
さすがに十二月になると本格的に寒い。
吐く息は白いし、北風はこれでもかってくらい吹いてるし
昨日頑張って仕事を進めたものの、やはりすぐには帰れない
まあ覚悟してましたけど。
それでも頑張ったかいはあったか、8時までには帰れそうだ
…去年みたく10時とか12時近くまで拘束されていた...【カイメイ】Christmas with you
ayumin
一説によると、人は一生自分の顔を見ることが出来ないのだという。
勿論、鏡や写真を使えば顔の造形を確認することは出来る。しかし鏡は左右対称に世界を映し出すものだし、写真は記録媒体であって現在進行形の自分を映しだすものではない。
では二面鏡を使ったりテレビの生中継で自分を見るというのはどうだろう?
これ...【カイメイ】おれがきみで わたしがあなたで
キョン子
「僕は、あなたが好きです」
二十六年も生きていれば、それなりに恋もする。
オトコなんて結局素直で可愛いバカなオンナを演じてる女が好きで、「好き」とか「愛してる」とかそんなの信じるに足らない甘言で、今更誰にそんなことを言われたって心は動かないと思っていた。
なのに、あまりに真剣な彼の瞳を見つめ返したら...【カイメイ】明日への扉
キョン子
すり、とコートの胸元に手と頬を寄せ、メイコはまるでオレを誘うかのようなうっとりとした様子で言った。
「はぁ…カイトの胸ってかたくて好きぃ…」
対するオレは完璧なまでの真顔。しなだれかかる身体をされるがままに受け止め遠い目で答える。
「…そうだね。めーちゃんのよりはね」
「叩いていーい」
「なんで。嫌...【カイメイ】 酔っぱらいと正気の沙汰
ねこかん
「お疲れ様でした~!」
メイコさんの教えと、自分自身の気持ちで、髪を切りに行った
まるで、別人だ
「がらっと雰囲気を変えたいです」といって、イメージを伝えてお願いしたら、驚くほど頭が軽くなった
前は、前髪は眉毛にかぶさったところで揃えられていて、全体的に重々しかった
それが今では、かなり変わった
...【カイメイ】 story one ≪刺激的なシチュエーションは ≫上
ayumin
カイトの部屋に入り扉を閉めた途端、抱き上げられたままでかぶりつくようにキスされた。何事かと慌てて押し返せば、あっさりと離れていく口唇。
「ちょっとスッキリした」
ニヤリ笑う顔はいかにもしてやったりと言った風で、メイコは心底呆れて眉を寄せる。
「…もう!なんなのいきなり!無理やり連れてきて!」
「もう...【カイメイ】 騎士は姫の名を呼ぶ 【MEIKO聖誕祭】
ねこかん
「というわけで我々は、『おねえちゃん甘やかし隊!!』を結成しましたー!!」
\パンパカパーン/
ご丁寧にも効果音つき。
言葉の通り『おねえちゃん甘やかし隊!!』と堂々書かれた横断幕を左右両端から広げ、ミクとリンはメイコに向かってドヤしてやったり、と得意満面して見せた。ちなみにはじめの「というわけで」...【カイメイ】 Amazing Grace 【MEIKO聖誕祭】
ねこかん
小さい頃、町のハロウィンイベントで手に入れたたくさんのお菓子を食べていたカイトの隣で、幼馴染の彼女は御伽話についてこんな風に語っていた気がする。
「絵本を読んでるときにいつも思うんだけどさ、この『いつまでも幸せに暮らしました』っていう終わり方、おかしいと思わない?」
カイトは彼女の話に興味を引かれな...【カイメイ】ようこそ愛しきジャックよ
雪りんご*イン率低下
音が、
はじまったその瞬間、その音は、僕を、泣かせた。
こんな気分になるなんて、思わなかった。
初めて、感動した瞬間だった
その体から、溢れだす音の波、それは、僕の体を包みこんでいく
ココロに刺さってくる挑発的な和音、惹かれていく僕
"彼女"の歌は、まだ続く
その、ひとつひとつが、今までの僕を、思い...【カイメイ】 story one ≪ふと迷い込んだ路地裏での出来事≫ 下
ayumin
5
結局そのまま一人で帰ってしまい、部屋で一人私は悶々としていた。渡せなかったチョコレートが、机の上に転がっている。
「はぁ……」
ため息をつきながら、今日のことを考える。あの初音ミクと名乗った少女。あの子が言っていたことが本当のこととは限らないのは、家に帰り落ち着いてから思い至った。あの時は...君の音楽 #5
うたかた
4
放課後。
チョコをいつ渡すか悶々としながら、私は一階下のカイトの教室へと向かった。一年下の学年はまだまだバレンタインの甘い雰囲気を持っていて、そこかしこでチョコを渡す姿が見られた。正直心臓に悪い。
教室の前でじりじりしながらカイトを待っていると、
「あなたがメイコ先輩ですか?」
名前を呼...君の音楽 #4
うたかた
3
お昼になり、学食へ飲み物を買いに行くと、そこでリンに出会った。どうやらお昼を買いに来たらしい。リン、と声をかけると振り返り、ぱっと笑顔を浮かべてくれた。
「メイコ先輩!!お久しぶりです!」
「ええ、久しぶりね、こんにちは。今日は部活間に合ったの?」
「あはは、ギリギリでしたけどなんとか。もの...君の音楽 #3
うたかた
2
「おはようございます、カイト先輩」
学校の校門で出会った彼は、カイトに挨拶したあと、私にも向き直り
「メイコ先輩も、おはようございます。カイト先輩に付き合って朝早く、大変ですね」
「おはよ、レン」
「おはよう。別に大変じゃないわよ?慣れだし」
彼は鏡音レン。高校一年生で、カイトの後輩に当た...君の音楽 #2
うたかた
君の音楽
1
今日はバレンタインデー。乙女たちが意中の相手に気持ちを伝え、あわよくば交際に持ち込もうと奮起する日であり、私の幼馴染の誕生日でもある。そして私も、自分に似合わないことは重々承知していながら、ちゃっかり手作りのチョコレートをカバンに忍ばせたりしているのである。
今までは義理だからと...君の音楽 #1
うたかた
近づきたい、触れたい、思うほどに、触れてはいけない気がしてくる
でも、君のことが知れたら、それでいい
近づくたび、近づくたび、つのる想い
戻れない、でも、もう、いい
君が、いれば、それでいいから・・・
<<ふと迷い込んだ路地裏での出来事>> 上
馬鹿らしい。
呟いた声は、汚い夜に消えていく
つまらな...【カイメイ】 story one <ふと迷い込んだ路地裏での出来事> 上
ayumin
僕の可愛いお姫様。
もう、置いていったりしないからね…
~カイトside~
キーンコーンカーンコーン…
やっと下校時間だ。
帰ったら、メイコに聞こう。
勇気をだせ、僕。
やっと会えたんじゃないか。
僕との写真だって大切に持っていてくれたじゃないか。
覚えてますかって聞くぐらい、簡単だろ?...再会~僕の可愛いお姫様~ 後編
Tea Cat
『グスッ…こわかったよぉ…ヒック…』
『だいじょうぶ、ぼくがずっとまもってあげるからね』
~メイコside~
ジリリリリリリ!!!
「むにゃぁ、あと5分…って駄目だ、私!起きるんだぁぁぁ!!!」
そう言って自分で自分を起こす。
だって、今日から私は高校生!
昨日からは念願の一人暮らし!!
というわけ...再会~僕の可愛いお姫様~ 前編
Tea Cat
カラコロ、と小気味のいい下駄の音。遠くからさざめく祭り囃子。首筋を伝う汗を拭い、ハタとはためく団扇に描かれた涼しげな朝顔。
非日常な気分の高鳴り。
玄関を出た途端、キャー!わー!と大はしゃぎしながら一直線に駆けていった黄色い2人に、カイトはあっコラ、と間に合わないツッッコミを入れつつ声を張り上げた。...【カイメイ】 夏の星座にぶらさがって
ねこかん
サラサラサラサラと、シャープペンシルの芯が淀みなく紙の上を滑る音がしている。
目の前には、癖のないボブカットの黒髪をたらし、一番上までキチンとボタンをしめた、薄ピンクのシャツに控えめなリボン。ふちの赤い眼鏡をかけて長いまつげを伏せ、綺麗な姿勢で黙々と書き物をしている少女がいる。
カイトはその手前の...【カイメイ】 きみとぼくの答え合わせ 【パカグラ】
ねこかん
―これは少し昔の不思議なものがたり―
*************************
「…ト…イト…」
遠くから聞こえてくる霞んだ声は、初めて聞いた筈なのにどこか聞きなれた声のような気がした。
「カイト」
目を開くと白髪の老人がこちらをみつめている。
「おはよう、カイト」
その姿も、声も、見たこ...スミレノ丘にて
佳紗
「しつこいわね、何度も同じことを言わせないで頂戴」
散らかったアパルトメントの部屋に刺々しい声が響く。
昨日の深酒で掠れた声は数時間ばかりの睡眠では回復しなかったらしく、耳に届いた自分の声はまるで中年女のヒステリーのようにも聞こえて尚更苛立ちが増した。
「私は二度と歌わない。あのお坊っちゃんにも二度...【カイメイ】on the rocks-中編-
キョン子
「ねぇ、本当にこの格好で変じゃない?」
「変じゃないですって、心配しすぎですよ」
「だって、ご家族に変な印象もたれたらイヤだし……」
「大丈夫です、あの、メイコさんは、その、いつだって可愛いです」
かぁ、と染まる頬を見て、俺の頬も熱くなる。
「いい大人が二人で赤面しあっている様は見てるこっちが恥ずか...【カイメイ】ファミリア・ファミリア
キョン子
*
初めてカイトを出会った時のことを、私は今でも鮮明に覚えている。
「めい、ほらカイト君よ」
母の手に引かれて訪ねたお隣で見たものは、綺麗な顔をした赤ん坊の姿だった。
恐る恐る白い産着に包まれた顔を覗き込むと、その赤ん坊は大きな目を動かしてじいっと私の顔を見つめ、何かを伝えようと口を動かす。
「…...【カイメイ】メモリーズ
キョン子