タグ:悪ノ娘_SS
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遠くから私を呼ぶ声が近付いてくる。
すごい勢いで。
一瞬誰か分からなかったが、「カイル兄様~!!」とドレスの重さを感じさせないくらいの速さでやってきたのはリリアンヌだった。よくあのドレスで走っていて転ばないものだなと感心しつつ、王女がそんなことをしてはいけないよと窘める。その言葉を受けしゅんと...夢の中でなら
雪夢
モーツァルトなんかの真似したって
ピアノを弾けない君には勝てない
僕が1日かかって1人を笑わせたら
一瞬で全米を泣かせる君は
こっちを見てくれる?
「諦めるのも勇気がいる」なんて
知ってるから!何度も言わないで!
99負けたって1勝てれば
それが僕の切り札だ
まだ勝負は終わってない...99vs1
runx2
「やはり引き受けてくれると思ってましたわ」
「まあ、友人の娘の頼みだ。断る理由がない」
エルフェゴート国の小さな町の小さな喫茶店。画家である青髪の男は小さく微笑み、目の前にいる小さい小説家に問う。
「挿絵か……君の世界観を壊さずに描けるか不安だが、やってみよう」
「まあ! かつて一つの国を変えた人...悪魔の絵を描く
真宏
グーミリアにより高度で範囲が広い魔法を教えるために私たちは彼女の故郷、エルドの森に来ていた。
王宮で魔法を失敗して城を壊そうものなら王女は激怒し、私たちは最悪ギロチンにかけられるだろうが、ここなら失敗してもまあ、ある程度なんとかなる。
グーミリアは感情をあまり表には出さないが嬉しそうに森の奥へ進んで...愛を誓う
ナユ
「リリアンヌ!」
呼んだ声。
「 !」
しかし、もう彼女の声は聞こえない。
差し込んだ黄金の鍵。その瞬間僕らは一瞬にして弾け飛び、ついさっきまで隣にいたリリアンヌも光に包まれてしまった。
やっと巡り合えた。ずっとずっと君を追いかけてきた。だからか、これで良かったんだという想いと、もっと一緒に居...悪ノ娘→総てが終わり、始まった世界
kojiisono
私の名前はネイ=フタピエ。『悪ノ娘』リリアンヌ=ルシフェン=ドートゥリシュに仕えるメイド……というのは仮の姿。
その正体はリリアンヌに悪魔を取り憑かせ、悪政による内部崩壊を引き起こすために送り込まれた工作員であり、知られざるマーロン国第十三王女である。
無事王女付きのメイドとして王宮の中枢に潜...工作員の試練
むぎちゃ
美しい緑髪(りょくはつ)の少女、「ミカエラ」は森の中を散歩していた、今日は仕事が休みで、クラリスも一緒に行こうと誘おうとしたのだが、疲れでぐっすり眠っていたので、起こさずにこっそりと出かけたのだ。
街で働き始めてもう数か月、街の空気にも少しずつ慣れてきたが、やはりミカエラは森の中の空気が好きらしく、...血塗られた白ノ一族
天の狼
時計塔の針の音が響いている。規則正しく鼓膜を穿つそれは、まるで心臓の鼓動のようだ。
マーロン王国ブラッドプール地方北部、キャッスル・オブ・ヘッジホッグ。その中心にある巨大な時計塔の針音は、その風体にふさわしい程大きく、城をぐるりと囲うように建てられた城壁の上にまで届いている。
針の音に合わせるように...逆さの塔に名を刻む
たるみや
ーこれは、勝手な大人達によって離され、立場を違え、そのせいで道を間違えた少女とその少女を守ろうとして処刑されてしまった少年の御伽噺。
緑の娘を殺させたのは間違いだったのか…ふとそんな思考に陥る。
しかもそれに気付いたのはアレンー双子だった召使いを失ってからだった。
『あら、おやつの時間だわ』と言いな...悪の華は双子に願う
奏雨
「……やっぱり、ここにいたのね、リン」
視線の先には、リンと呼ばれた修道女が立っていた。夕闇に映える金の髪がまぶしい。砂にしゃがみ込んだリンは、服が濡れることを厭わず、ぼーっと水平線の彼方を見つめている。
夕の赤に輝いた、一筋の頬の輝き。
それは、幻か。
「……あぁ、クラリスか」
声で判断し...茜空ノ修道女
Stella
「はあ…気持ち悪い…。」
胃の中のものがぐるぐるとかき回され、昇ってくるような途方もない不快感に襲われる。理由は考えるまでもない。ここに来るまでに乗ってきた馬車のせいだ。ルシフェニアから、ここ、エルフェゴートまでの道はそこまで綺麗に整備されてるわけじゃない。道はでこぼこだらけだし、そこらに小石が転...馬車と君には敵わない
カンラン
「エルフェゴートへ?」
「そう、少し用事をね。お願いするわ」
「分かった」
「お土産に、エルフェゴートの名産品トラウベンがあれば嬉しいわね」
「ふあぁぁ」
あくびをするリリアンヌが、視界の端に見えた。
あーあ、退屈な会議ねぇ。形だけで、意味なんてない。リリアンヌじゃなくても、あくびが出るわ。
「ふぁ...化ケ物ノ襲来
亮也
「アレン、お主はキスをしたことがあるか?」
3時のおやつの時間に流れていた穏やかな雰囲気は、リリアンヌの一言で霧散した。
「ど、どうしてそのようなことをお聞きになられるのですか?」
そう聞くと、リリアンヌは少しふくれた。
「わらわの質問が先じゃ!」
「申し訳ありません…私はない、ですね…」
リリアン...王女と召使と思春期
ナユ
「カイル兄様が遊びに来るぞ!」
まさに喜色満面といった笑みを浮かべるリリアンヌ。
「よかったですね、リリアンヌ様」
アレンは穏やかな表情でそれに応える。純粋な祝福と、これでしばらくは上機嫌でいてくれるだろう、というほんの少しの安堵も込めて。
「遊びに、ではなくお仕事なのでは……」
「何か言ったか...Lucifenia's taiRoL!?
織奈
「リリアンヌ様?どこへ行かれたのですか?」
僕は先程突然リリアンヌに呼び出された。そのためリリアンヌの部屋へ向かったが、そこには彼女はいなかった。
待っていれば来るだろうと思っていたが、数十分経ってもリリアンヌが部屋に来る気配はなかったため、今僕は城中を捜し回っている。
全ての階を回ったつもりだが、...回想、そして後悔
macaron
アレン 〜ルシフェニア王宮内「リリアンヌの部屋」にて〜
「いよいよ明日じゃ!準備ができていくのを見ておると、胸が踊るのう‼︎」
満面の笑みのリリアンヌ。いつになく、上機嫌だ。それも当然。明日は、リリアンヌの誕生日。彼女を祝って、盛大な舞踏会が行われるのだから。
つい先程、3時の鐘が鳴り、リリアンヌは...アノ日ノ記憶
亮也
「あら、おやつの時間だわ」
昔昔、悪逆非道の王国の頂点に君臨していた十四歳の王女、リリアンヌがいた。後に『悪の娘』と語り継がれたその美しく可憐な王女には、支えとなった少年がいた。その少年の名はアレン。リリアンヌの召使いであり、双子の兄弟でもあった。王女は彼をそれはとてもとても信頼し、信頼したからこそ...悪ノ娘
レツとか七九十葉好とか
私はいつでも間違いだらけだった。この一生の中で。
償いはきっと、いつまでも終わらない。
君に会いにも行けない。
栄える王国の中心。ルシフェニア城の一室。
2人の大臣が集いて、2人の子供を崇めている。
王と王妃が亡くなりし国。新たな王を求めている。
この国を救うためには為さねばならぬことがある。
「王...Master Of The Lucifenia
悪ノてるてる
「『イモケンピ』が食べたいのじゃ!」
そう、リリアンヌ王女が言い出してから1時間。僕、『アレン=アヴァドニア』は途方にくれていた。
午後3時、おやつの時間には、使用人の誰かがリリアンヌ王女におやつを作る決まりになっている。今日は僕の番だ。リリアンヌ王女はブリオッシュが大好きだから、先日ミカエラが...君のワガママ
持平勇賢(りゅうせいとうP)
僕は、知識量には自信がある。
当然といえば当然だ。8年前の「あの事件」まで、僕はこの国の王となるべく育てられたのだから。
さすがに王宮の大人たち──特に、数百年も生きてる某魔導師には敵わないけれど、同年代の中では知識がある方だと思う。
歴史、文学、語学、数学、政治学、地理、宗教──我ながら、よくもま...星と歯車とオモイデ
わらすぼ