タグ:悪ノ娘_SS
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また今日も使用人が処刑されたらしい。なんでもリリアンヌのドレスの裾を誤って踏んづけてしまったとか。
リリアンヌが王女に即位して一年。私が知るだけでも相当の数の使用人がギロチンにかけられている。可哀想だなんて思わない。むしろバカな奴らだと思わず笑いそうになる。この我儘娘に取り入るなんて大したことな...近くにあった幸せ
カンラン
部屋の窓から海辺を眺める。地平線の向こうまで永遠と続いている海。もし、この海の水が全てお酒だったら、私はそれを全て飲み尽くすことができるだろうか。そんな荒唐無稽な考えがふと脳裏を掠めた。
こんなたわいない考えが浮かぶのも、5年前から続く案件にようやく、本当の意味で終止符が打たれたからだろう。
...英雄ノ追憶
IRis
ルシフェニア国王、アルスⅠ世が亡くなってから数週間後の事だった。
六歳になったばかりの王女リリアンヌと王子アレクシル。大人たちが後継者の話し合いをしてる中で、二人は反抗期らしきものを迎えていた。勝手に城を抜け出し、勉学や稽古は平気でさぼり、連日夜更かしばかりする。ただでさえ城の公務で疲労がたまって...真夜中のお化け屋敷
MaKi
なんでもない或る日のこと
「永遠の命、とはどのようなものなのであろうな。」
黄の国と呼ばれるルシフェニア王国の王女であるリリアンヌは、こぼれ落ちそうな…雲ひとつない快晴の空と同じ色の瞳を輝かせ、召使いであるアレンにそう訊ねた。
「いきなり何を言い出すんですか、リリアンヌ様。」
一方アレンはというとそ...その時はまた遊んでね
こうめちゃづけ
『悪の娘』を捕らえることができた。
それが確信となった途端、ジェルメイヌは膝から崩れて座り込んだ。
安堵と満足。そして、革命で命を落とした者への謝罪。色々な感情がまぜこぜになり、足から力が抜けた。
端から見ると怪我で意識を落としたと思われたのだろう。
近くに居たカーチェスがジェルメイヌの体を支えよう...革命のあと
ogacchi
◇◇◇ -Who killed them?
この墓には誰も埋まっていない。
それでも、人はこの墓に花を供える。
ルシフェニア共和国、首都ルシフェニアン郊外の墓地。
集団墓地の端にある小高い丘の上へ、私は花束を抱えて登っていく。
樹で囲まれた丘の上にはルシフェニア王国最後の王女、リリアンヌ=ルシフェン...墓守の修道女
たるみや
話をしよう。
その共同墓地は格好の遊び場だった。旧王都という街中では子供たちの遊び場は少なく、近場で人気のなく木々に覆われたそこは最適だった。
私が「彼女」に気付いたのは、ある日のこと。
かくれんぼの場所探しの最中、ある墓標の前の彼女を見つけた。その修道着は確かエルド派のものだ。
私は目の前の「彼女...悪ノ娘 黄のアンコールあるいはビス
万華
R.
一国の頂点に君臨する金髪の少女。母のような強い女性になることを望んだ。しかし彼女は強さの意味を履き違えてしまった。弱さを見せないこと。意のままに他人を動かす彼女には常に一線が引かれた。彼女が心を許せる人は数少ない。その一人である青い髪の青年が城を訪れた。青年への恋心を持つ彼女は、会える喜びと僅...それぞれの願い
くろ猫
あれは、父さんの禁酒に付き合い始めて一週間ほど経った頃だっただろうか。私はあの日、家の壁に開いた穴の修繕をしていた。粗末な私たちの家は、ときどき修繕してやらないと住めたものじゃなかった。不満がないわけじゃなかった。でも、それ以上に誇らしさを感じていた。あの家は、民衆を第一に考える父さんの心を映し出...
ビンテージ
カンラン
私の目の前には一人の男が座っている。見かけは質素だが生地も仕立ても一級品な服に青い髪。画材道具の入った鞄を持っていれば旅行客に見えるとでも思ったのだろうけど、護身用の長剣にはばっちりマーロン王家の紋章が入っている。……というか、忍ぶ気が全くないんじゃないかこの人。
「好きなものを頼んでくれて構わな...青ノ妹
粉末緑茶
クラリスはふと目が覚めた、ずいぶん長い間寝たのだろうか、寝る前の記憶が全く無い、頭が少し重く、目を擦りながら小さくあくびをした。
「おはよう!クラリス!」
「おはよう、クラリス。」
クラリスは自分の目を疑った、そこにはありえない光景が広がっていたからだ、教会の自室でクラリスは眠っていたはずなのに、昔...クラリスの夢
天の狼
俺はアレン。
最近思うところ大有り。
SNSに、男か女かって必要かぁ?
そりゃ、商業的であったり、出会い系であったり、それを目的としているサイトでは必要なんだろうけど。。。
実際に会わなきゃ、必要ないんじゃないの?
最近、つぶやいてると、女性っぽい言い方になる時がしばしばwww
(ただいまー、帰宅な...男か女か
jospecial
本日も晴天。ルシフェニア王宮にある天国庭園で僕は、主人のおやつの支度をしていた。主人とは、この王宮、この国の頂点に君臨する、リリアンヌ=ルシフェン=ドゥートゥリシュ。僕と変わらない年頃の女の子。そして、僕の姉でもある。彼女と僕が姉弟と知っているのは、王宮でも数少ない。なにせ、彼女が僕と姉弟である事を...
前ノ日ノ休息
える
——始まりました、第1回グルメショー!
本日のゲストはジェルメイヌ・アヴァドニアさんです!拍手ー!
——そして給仕係はリリアンヌとアレンにお願いします
「納得いかん!なぜわらわが給仕係などせなならぬのじゃ!それもこんな小娘相手に!」
「あらあら、あんたも小娘でしょ、王女様?」
「わらわに向かってなん...グルメショー
くろ猫
春真っ盛り。空は青く草の匂いが心地いい。
…ここはどこだろう。迷った。春の陽気につられてふらふらと歩いているうちに、どこかの庭に迷い込んでしまったようだ。
あ、蝶々。追いかける。
いかんいかん、こんなことをしているから大好きな家族ともはぐれてしまうのだ。急に心細くなる。
「可愛い!どこから迷い込んだ...茶のアントラクト
くろ猫
「ブリオッシュを作りたい!!」
「……はい?」
あまりに唐突なことだったのでつい変な声を出してしまった。ブリオッシュを作りたい?リリアンヌが?
「なんじゃ変な声を出しおって。なにかおかしなことでも言ったかのぅ?」
リリアンヌがムッとした顔で僕に訊く。
「い、いいえ!申し訳ありません、突然のことでした...君と私のブリオッシュ
ゆうとぴあ
この話は、遠い昔の話。
「妾は遊園地とやらに行きたいのじゃ〜!」
「ダメです!リリアンヌ様は忙しいのですよ!」
今日も平和な喧嘩が始まった。
その時、部屋にノックの音が鳴った。
ドアを開けると、「やぁアレン!」と抱きしめられた。
きっとこの挨拶は、と思い上を向くとやはりカイル兄様だった。
「カイ...幸せの物語
月浪自由
◇◇◇
これは夢だ。
早々に彼がそう確信した理由は他でもない。宮殿の廊下に、本来ならばいるはずもないものがいたからだ。
加えて、窓ガラスも割れているというのに他の侍従達が騒ぎ立てている様子は無い。
目の前の事柄全てがあまりにも不自然だ。夢なのだろう。今、彼の前にいるこの「熊」は。
地を這うような低い...イレギュラーはアカシックレコードの夢を見るか?
たるみや
好奇心は猫をも殺すなんてよく言うが、幼い頃の私の好奇心は、猫の死体に打ち壊された。
なんのことはない、町外れに人だかりが出来ていたから近付いただけだ。
私と同じくらいの年頃の女の子や男の子が輪になって何かを見ており、私も気になって覗き込んだ。
そこには──猫の死体があった。
大きな鳥に襲われたのだろ...ネコの屍
たるみや
ルシフェニア王国の三英雄の一人、エルルカ=クロックワーカーは街を歩いていた、単なる退屈しのぎに、ただ目的も無く、フラフラと街を歩いていた、そんなエルルカを街の人はジロジロと見ていた。
三英雄としての実力も兼ね備え、的確に国の住人達にアドバイスもしている、おまけにその美貌で人を引き付けている、憧れの目...エルルカの罪深い日常
天の狼
「あら、おやつの時間だわ」
この光景は何回目なのだろう。
(またダメだったか……)
悲惨な光景を前に泣いているリリアンヌ
「「もしも生まれ変われるならば……」」
……はっ!
そう言って僕は、小鳥と共に目を覚ました。
「朝…か…」
リリアンヌを救う為に、僕は幾度となくこの展開を繰り返している。
「今日...暴君王女更生物語
とろたく
自宅にも井戸端会議にも居らず、
おそらくと目処をたてていた第3の場所…居酒屋へとシャルテットは足を運んだ。
「あぁ、やっぱりッスね」
座ったままでも窓から外の景色を眺める位置に茶色の髪の女性はいた。
グラスには赤い液体が入っており、チビチビと飲んでいたようだ。
空きビンは見あたらない。
「夕方前から...居酒屋にて
ogacchi
「つまらん!つまらん!つまらあああああああああん!!」
ルシフェニア王宮、鏡の間。そこに一人の少女の声が響く。その叫びは誰の耳にも届くことなく消えた。
少女の名前はリリアンヌ=ルシフェン=ドートゥリシュ。この国、ルシフェニア王国を統治する王女である。
今日は彼女の14歳の誕生日であり、各国の要...悪ノ娘 橙のアンプロンプチュ
IRis
「んもおおおおお!!!!!」
ある日の昼間、修道院内のキッチンから突如響いた。ちなみに、これは牛の鳴き声なんかではない。あまりにもムカついた私の断末魔だ。(そもそもキッチンに牛なんかいたらそっちの方が大惨事だが)
「リン?!どうしたの?!」
私の叫び声を聞いたであろう友人が血相変えてやって来た。...Brioche
MaKi
◇◇◇
年をとった。
肖像画を描けなくなったのはいつからだろうか。
──否。描けなくなっていた、と気付いたのはいつだったか、と考えるのが正しいかもしれない。
若い頃は絵を沢山描いていたし、画家を目指していたこともあった。
しかし、母と画家ニコライ=トールによりその夢を絶たれてからは絵筆を持つことも無...とある画家の肖像
たるみや
ギィ、と扉の開く音。
「お久しぶりね」と笑う魔道師は、最後に会ったあの日から何一つ変わっていなかった。
私が母に連れられ、彼女に初めて会ったとき、彼女は自らを「悠久の魔道師」と名乗った。悠久の時を生きる、不老の魔道師だと。
……正直、あまり信じていなかった。それも当然だろう。いくら両親の友人とはいえ...とある修道女と魔道師
いんく
ルシフェニア王国から離れた場所に位置する“千年樹の森”。修道院での仕事を終えた私は、誰にも告げずこの場所へとやって来た。
森の中にある大きな千年樹と、以前よりも少しだけ伸びた苗木。どこも変わりない様子に、私はほっと胸を撫で下ろした。
クラリスの話によると、この苗木の正体は、大地神エルドの後継者で...悪ノ娘と魔道士ノ弟子
MaKi
今夜は月が狂おしい程に美しい。白銀の、欠けたところなどない綺麗な満月だ。そんな夜に月と同じような白髪の少女は勤めている屋敷の庭園で膝を抱えて満月を見ていた。彼女の体中に流れる血を凝固したような赤い瞳から、まるで引力によって海が満ちるように、ゆっくりと注がれ続けた水がコップの縁を超えるように、涙が溢れ...
envy or jealousy?
ナユ
何も信じれないそんな時に自分を信じる勇気が強さ
[一番]
初めて気付く自分の無力さに
もしも立ち直れなくなっちゃったときも
何もできなくても
足元が
すくんでしまっても大丈夫
一歩踏み出す足が自然に出るように
影を目をそらさずに見つめながら
進めば...【メロディー募集】勇気応援歌
鈴宮ももこ
リリアンヌは気まぐれだ。だから使用人たちは往々にして彼女に翻弄されることになる。今、僕もまた彼女の気まぐれに振り回されていた。
「剣術でわらわが負けたことは一度もない。アレン、いくらお主でもわらわには敵わぬじゃろう。」
僕はただニッコリと愛想笑いを浮かべて静かに頷く。誰も君相手に本気出せるわけな...夕焼けとはんぶんこ
カンラン