+KKさん

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【独自解釈】 野良犬疾走日和 【青犬編#07】

!!!Attention!!!
この度、ボス走らず急いで歩いてきて僕らを助けてPの「野良犬疾走日和」を、コラボ(二人)で書くことになりました。
自分が書く「青犬編」とつんばるさんの書く「紅猫編」に分かれております。
原作者様には全く関係なく、そして勝手な解釈もいいところで、捏造だろうと思われる部分もあると思います。
そういった解釈が苦手な方はブラウザバック推奨。
なお、カイメイ要素を含みますので、その点にもご注意ください。

大丈夫だよ!寧ろバッチ来い!の方はスクロールで本編へどうぞ。








【独自解釈】 野良犬疾走日和 【青犬編#07】





 少し遠回りして手紙を投函してから帰ろうとすると、明らかにこの辺りには普段走っていないような――名のある家柄の人しか乗っていないような高級な――車が、俺の視界の隅を通り過ぎていった。
 本当に誰の目から見ても高いだろうと思えるような車で、一瞬とはいえ誰もが走り去る車に釘付けになる。車が見えなくなると、それに対して「一体どこの誰の車だ」「どれぐらいするんだろう」なんてざわざわ騒がしくなった。
 パカパカと馬の足音を軽快に響かせ、ガラガラと車輪の音をさせながら過ぎ去っていく。俺もあんなのに乗れたら・・・もしも乗れるのなら、めいこの家まですぐに行けそうなものなのに。
 そう考えて、またいつもの考えを繰り返していたことに笑った。
「・・・まぁ、俺は気長にやりますよ」
 自分でも誰に言ったのか不思議なほどしっかりした独り言。もしかしたら周りにいた人たちにも聞こえていたかもしれない。
 ゆっくり家へと歩を進めているとドンッと腰辺りに衝撃が走って、よろけて倒れそうになった体を何とか両足で支えて耐えた。ところが、予測もしていなかった二度目の衝撃で、俺は結局「うっ」と呻き声を漏らしながら地面と顔を引っ付けることになった。土埃が上がり、視界が土で埋まる。ぶつけた鼻を抑えて唸っていると、後ろで俺に突撃してきた誰かが慌てたように退いた。
 もちろん、誰か・・・なんてわかりきっている。こんなことをするのはあの二人しかいない。
「あんちゃん!大変だよ!」
「にぃにぃ!大変なの!」
 体を起こす俺の両側で二人が大声を出すものだから、キーンと耳鳴りがした。
 謝るより先にそれか。とりあえず人に突進するのはやめなさい、と戒めようとしたのだが、二人の真剣な・・・いや、切羽詰ったような表情を見ると、その言葉を飲み込むしかなかった。
 これはどうやら本当に一大事のようだ。
「あんちゃんの」
「お姉ちゃんが」
「大変なんだ!」
「大変なの!」
 必死の形相で交互に言う双子に、思わず「は?」と間抜けた声を返してしまった。
 お姉ちゃんって誰だろうか。一体何を言いたいんだろう。
 二人は全くわかっていない俺に痺れを切らしたようにもう一度息を吸い込んだ。
「めいこさんが、大変!」
 今度はちゃんと聞こえたが、予測もできなかった名前が二人の口から出たことに、俺の口は勝手に開いていた。
 今、確かに二人は「めいこ」と言った。何でめいこの名前が・・・?
 困惑しながらも、双子が必死で何か伝えようとしているのはわかっていたから、黙って聞いていた。
「めいこさん、あんちゃんに会いにきたって」
 れんくんの言葉に、俺は目を見開く。
 どうしてそんなことになる。だって彼女は・・・。
「でも、何か紫の髪の男の人に連れて行かれちゃったの!」
 りんちゃんは今にも泣き出しそうな声をしていた。
 記憶の中、めいこの周りにいたはずの人物の中には紫の髪の男なんていなかった。新しく来た教育係か何かだろうか。二人が言っていることが正しいなら、その男は家出しためいこを連れ戻しにきたとみて間違いない。
 めいこが手に届く範囲にいたというのに、自分で思っていたよりも今の俺は冷静だった。
「それで・・・めいこ、何か言ってた?」
 二人の目が俺を睨みつけ、泣き出しそうに歪んだ。
 何故俺よりもこの二人の方が感情移入しているんだろう。何だか自分のこととは思えない俺とは正反対だと思った。
「何で冷静なの!?」
「あんちゃん、めいこさんのこと」
「あんなに好きだって言ってたのに!」
 最後に重なった二人の声は、まさしく悲痛としか呼べないようなものだった。二人の言葉が、俺の頭に血を上らせる。血が沸騰しそうなほど熱くなった気がした。
 だが、大人として怒鳴り散らすことはしたくないと思えるほどには冷静で、俺はぐっと握りこぶしを作って耐える。りんちゃんとれんくんは耐え切れなかったように、俺の胸板を叩いた。それは驚くほど軽くて、少しの振動を俺に伝えるだけに終わる。
 俺たちがどんなに足掻いても壊せなかったものがこの体のような気がして、少し吐き気を覚えた。
「無理やり連れて行かれそうになって」
「俺たちもしぐれも足止めしたのにっ」
 今にも泣き出しそうな声が交互に吐き出される。それは、まるで俺にぶつけて傷をつけようとでもしているかのように尖っていた。
 俺だって正直に言えば会いたい。会いたくて仕方がない。だが、本当に今会ってもいいものなのだろうか。今こうして迷っている俺が、めいこに会って何か変えることができるのだろうか。
 それを考えると、どうしても足が踏み出せなかった。
「意気地なし!」
「っ、それなら!」
 二人の声が重なった瞬間――俺は完全に耐えられなくなった。口から出るのは、大人気ない本音。
「それなら俺が行ってどうこうできる問題なのか・・・!? めいこのことを一番知ってるのは俺だ、彼女の家が厳しいことも知ってる、家出なんてしたら何十人も雇われた人間が連れ戻しに来ることもわかる・・・彼女が会いたいと言って俺のところに来たって・・・・・・俺が今すぐ行ってどうにかなるものなのか? っ・・・俺だって・・・会いたいに決まってる・・・!」
 一日だってめいこのことを考えなかった日なんてない。一秒でも早くめいこのところへ行くために仕事に打ち込んでいたのだから。
 双子は突然声を荒げた俺を見て、ついに泣き出した。ぼろぼろと、まるで俺が流す予定だった涙を代わりに流してくれているように。
「だっ・・・て・・・このまま会えなくなったっ・・・らって!」
「でもっ・・・もう、馬車、行っちゃった・・・!」
 嗚咽を漏らしながら泣くりんちゃんの横で、流れてくる涙をどうにかこらえようとしているれんくんが零した言葉に、俺はさっき目の前を通り過ぎていった馬車のことを思い出して、それが消えていった方向へと目を向けた。
 俺の中にあった、まだ今のままではめいこに会えないという考えは一瞬にして溶けてなくなる。その代わり、あの時走り去っていった、あの馬車の影がこの目にはしっかりと見えた。
 ――そこからは、無我夢中だった。
 気付いた時には双子の驚く声が後ろから聞こえて、俺の足は全力疾走していた。自分の意思は、そこにはなかったと言ってもいい。ただ必死だった。
 風が痛いぐらいに吹き付けるのは、俺が今まで走ったこともないような速度で走っているからだと知った。
 途中で履物が飛んだ。砂利や時折落ちている小石を踏めば、痛みが当然伝わっているはずなのに、その痛みはほとんど感じられず、ただバランスを崩しそうになるだけ。
(めいこ、めいこ)
 何度も心の中で叫ぶ彼女の名前は、心の中だというのに酷く掠れていた。
 胸が痛いのは、全力で走っているからなのだろうか。頭が痛いのは、考えなくてもいい自分のことばかり考えて遠回りをしたせいなのだろうか。今にも死んでしまいそうなほど苦しいのは、何故だ。こんなに息が切れるのは・・・・・・俺は、こんなにも体力がなかっただろうか。
 頭の中には、走馬灯のようにめいこの表情ばかりが投影される。
(めいこ、めいこ、めいこ・・・!)
 この声が届いたら、どんなにいいだろう。
 いつまでも俺の隣で笑っていてほしいと願った。引き裂かれてしまっても、いつかまた隣で笑っていられる日がくると思っていた。なのに、こんなにも遠いのか。
 馬車はまだ見えない。広い道を通ったはずだし、車輪の跡がついているからこっちのはずだ。でも、一向に車輪の音も馬の足音も聞こえてこない。
 行き交う人々が何だ何だと振り返っては俺の道を開けてくれた。それでも、まだ見えない。
 まだか。まだ、めいこには追いつけないのか。
 手と足を必死で動かしながら、空気を吸い込んだ。
「っ、めいこぉぉ・・・っ!」
 俺の掠れた叫び声は、自分の足音と喧騒に消えていく。喉は血が出そうなほど熱くて痛い。
 土埃を巻き上げて、全ての痛みを投げ捨てながら、俺は必死で走った。まるで捨てられた犬が飼い主を追うように。

 ただ、ただ、必死だった。




わっふー!何だか昨夜からテンションが高い+KKです。
何でかなーと思ってたら今朝家にやってきた幼馴染に「お前、熱あんじゃね?」と言われ、「ねーよ」と笑いながら言ってたのですが、実際はかってみたら38℃とかあってびびりました。あー・・・通りでふらつくと・・・(気付け
暑さとか熱には強いですが、寒さにはめっぽう弱いです。
んなことはどうでもいい。
それよりも・・・か、かいと・・・!
超頑張れ、必死で頑張れ、絶対掴め!と思った。
追いつけたら、このまま幸せになると信じて走ってほしい。
追いつけなくても、プライドなんて捨てても自分が周りにいる人間に溶けていってしまうとかそういうことじゃないって知ってほしい。
マイナスに見えてもマイナスじゃないことってたくさんあるって、知ってくれればいいと思う。とにかく頑張れ、かいと!

つんばるさんが手がけた紅猫編#07はいつもと一味違うので必見!!

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「紅猫編」を書いているコラボ主犯
つんばるさんのページはこちら → http://piapro.jp/thmbal

投稿日時 : 2009/09/01 21:35    投稿者 :+KK

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