レイジの投稿作品一覧
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第六章 悲劇 パート3
ウェッジ率いる二千の決死隊が無謀なる尾根越えを開始したのは十月も下旬に到達した頃合いである。平地では実りを迎える季節だが、高地では一足先に、まるで駆け去る様に秋が過ぎ、時折木枯らしのような冷たな風が吹き始める。尾根は果てしなく広がり、その果ては何時までも見通せない。大きく伸...ハーツストーリー80
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悲劇 パート2
「随分な賑わいですね」
遠路はるばるザルツブルクを訪れた女性がいた。フレアである。革命軍が快進撃を続けてこられた理由はこのフレアの存在が何よりも大きい。どんどんと拡大を続ける革命軍の食糧事情を一手に引き受けてなお余りある才を発揮していたのである。フレアはキヨテルと共同で増産策を取る...ハーツストーリー79
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第六章 悲劇 パート1
膠着が、続いていた。
ミルドガルド南東に位置するリンツである。グリーンシティを抑え、旧緑の国の領域は商工ギルドの手により半自治区として独立状態にあった。以前は青の国と緑の国の国境に位置しており、従来は防衛拠点として重視されていたが、帝国による統一ののちはその重要性が失われ...ハーツストーリー78
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第五章 祖国奪回 パート7
「本当に、よく許可を得られましたね」
セリスが呆れたように言った。晴天の最中、リンを大将とした革命軍は一路ルータオへの道を進軍していた。
「だって、放置もできないし」
けろりとリンが答える。赤騎士団とロックバードの本隊がザルツブルグへと進軍したのち、リンは一千の兵を率...ハーツストーリー77
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第五章 祖国奪回 パート6
天主からの援軍が丁度東門へと駈け出そうとしたとき、その兵らは目の前に現れた赤騎士団の姿に度肝を抜かされる羽目になった。軍を移動させるために目一杯に開かれた城門めがけて、およそ千名の革命軍がまるで一本の槍のように帝国軍を切り裂いていったのである。その様子は執務室で指揮をと...ハーツストーリー76
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第五章 祖国奪回 パート5
帝国軍に、混乱が広がった。
そもそも城門がこれほど簡単に抜かれるなど、帝国軍の誰ひとり想定していなかったのである。そして、帝国軍の構成も不運を呼んだ。上意下達を徹底することで精強な軍を確保していた帝国軍ではあるが、予想の範疇外で次々と発生する事態に対応しきれず、城内に...ハーツストーリー75
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第五章 祖国奪回 パート4
ゴールデンシティ総督府、言わずと知れた黄の国王城の歴史は創設者たるファーバルディ大王の時代にまで遡る。当時のゴールデンシティ周辺は至る所に芦が生える湿地帯であったという。だからこそ、当時大陸を支配していたフラン帝国をして重要な拠点とは見なされなかったのである。当時の中心...ハーツストーリー74
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第五章 祖国奪回 パート3
「案外、すんなりとことが進みましたな」
フィリップ市役所の一室でロックバードが言った。フィリップ市を陥落させて数日が過ぎた日のことだ。
「ちょっと汚い手だとは思ったけど、仕方ないよね。それに思わぬ収穫もあったし」
リンは笑顔でそう言うと、アレクが楽しげに頷いた。
「お...ハーツストーリー73
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「綺麗だね、蓮君。」
未来先輩は待ち合わせてから終始ご機嫌だった。場所は大通り公園、イルミネーションが深く積もった純白の雪に反射して幻想的な光景を作り出している。そうですね、と答えてみるが正直、僕には余裕がなかった。何しろデートなんて初めての経験なのだ。時折今頃苦労しているだろう妹のことが頭をよ...South Nroth Story 特別編 ―冬の出来事― パート3
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「寒いね、蓮君。」
寒いと言いながら随分と上機嫌な様子で、未来先輩はそう言った。
「そう、ですね。」
どうしてこうなったのだろう。
そう考えずにはいられない。デートに誘ったのはつい先日。いや、それ以前にも色々前振りがあったのだけれど。
きっかけ、というか。あれは九月の頭、先輩の誕生日をう...South Nroth Story 特別編 ―冬の出来事― パート2
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ごう、とエンジンが鳴った。
どうやら下降を開始したらしい。気流に突っ込んだのか、びりびりとした振動に俺はそれまでの午睡を中断させられることになった。ぼんやりと瞳を開けて、視線を景色へと移す。だが、見えるものはただ一面の灰色の雲ばかり。どうやら先ほどの揺れは雪雲に突入した衝撃によるものであるらしい...South Nroth Story 特別編 ―冬の出来事― パート1
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第五章 祖国奪回 パート2
それから、三か月余りの時が過ぎた。
田畑が実り始め、そろそろ秋の収穫を心待ちにする季節である。内務官の連中は農地改革令通りに税務処理が収められるかどうか、気をもむ毎日を過ごしている様子だった。とはいえ皇妃であり、武人であるアクにとってそれは関係のない業務で、ただ日々の...ハーツストーリー 72
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第五章 祖国奪回 パート1
もう、一年も経ったのか。
バラートを連れて、久しぶりにお忍びで帝都市街へと赴いたアクは、不意にそう思うとその足取りを止めた。
「皇妃様?」
怪訝そうに、バラートが訊ねる。
「もう、一年も経った。」
ぽつりと、アクは言った。一年。悪夢のようなルーシア遠征へと出立...ハーツストーリー 71
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第四章 ガクポの反乱 パート7
「レン様、帝国軍全軍の降伏が完了いたしました。」
ガクポがそのような報告を持って訪れたのは、ハンブルク将軍を討取ってから一時間余りが経過した頃合いであった。場所はグリーンシティ総督府の三階、元々はミク女王の謁見室として利用されていた広間である。御苦労さま、とリンは...ハーツストーリー 70
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South North Story 特別編
秋口の出来事
北海道大学のキャンパスは、流石旧帝大というだけあって、相当に広い。
リンとリーン、二人の妹と別れてから、一月余りの時間が過ぎていた。夏季休暇はとっくに終わり、後期授業の履修届など、何かと忙しい秋口のことである。
そして鏡蓮は、教務課へと...South Nroth Story 特別編 ―秋口の出来事―
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さて、人類というものはその歴史が始まった当初から、アルコールとの長い付き合いが始まったそうです。お酒を初めて作った人間は誰かという問いに答えるだけの知識を我々は持ち合わせてはおりませんし、文字が生まれるよりも遥かな過去から人間はアルコールに手を出していたのですから、そもそも探ろうということが不毛と...
クローバー・クラブ
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悪食娘コンチータ エピローグ
「む。」
思わずそんな声を漏らしながら、グリスは腰かけた執務室の上でその上半身だけを思う存分に伸ばした。
あれから、二か月ほど経過した頃合いである。季節はすっかり冬へと移り変わり、窓の外には薄く積もった雪が見える。その雪をぼんやりとグリスが眺めた時、背後から執務室...小説版 悪食娘コンチータ エピローグ
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悪食娘コンチータ 第三章 暴食の末路(パート8)
「オルス。今日は不寝番だ。」
フレアが用意した心づくしの夕餉を終えて寝室に移動したところで、グリスがオルスに向かって唐突にそう言った。寝室はグリスとオルスの二人で一部屋を利用することになっている。
「はい?」
いきなり何を言っているのだろう、...小説版 悪食娘コンチータ 第三章(パート8)
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カイトとみんなと新年会!
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悪食娘コンチータ 第三章 暴食の末路(パート7)
「お姉さま、グリス先生、お待たせいたしました。」
そう言ってフレアが再び食堂へと戻ってきたのはそれから一時間程度が経過した頃であった。その手にはプレートに載せたシフォンケーキ、その後ろから続くオルスはどうやら紅茶を手にしているらしい。そのまま、フ...悪食娘コンチータ 第三章(パート7)
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悪食娘コンチータ 第三章 暴食の末路(パート6)
途中でちょっとしたトラブルに巻き込まれながらも、オルスらの三人がコンチータ領へと到達したのはそれからきっかり三日後、十月二十日の昼過ぎのことであった。
それにしても、寂れた街だ。
オルスは街を歩きながら、思わずそのような感想を心の内に抱いた...小説版 悪食娘コンチータ 第三章(パート6)
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悪食娘コンチータ 第三章(パート5)
さて、貴族らしからぬ軽装で王都を意気揚々と出発したオルスたちが途中の宿場町であるフィリップの街へと到達したのはそれから四日が経過した時であった。街道はこの街を基点に三股に別れている。一つはオルスが属するロックバード家の領地であり、黄の国南部最大の都市であるル...小説版 悪食娘コンチータ 第三章(パート5)
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カイトとアイスとクリスマス!(後編)
『ミクさん、クリスマスの予定は?』
『今彼氏いないんですよ~。でも仕事優先で頑張ります!』
聞き覚えがある声にカイトがぴくりと反応して振り返ると、そこには家電量販店に陳列された液晶画面に映るミクの姿があった。
「なんだか、随分遠いところに行っちゃったみた...【クリスマス特別企画】 カイトとアイスとクリスマス!(後編)
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カイトとアイスとクリスマス!(前編)
まずい。 カイトは強く、そう、とても強くそう思った。街は華やかに彩られる十二月、いつの間にか日本中で恒例行事となった、イルミネーションが輝く街中の映像がカイトの脳裏にちらついた。
今日は12月24日。そう、クリスマスイブである。
今年こそは。そう、今...【クリスマス特別企画】 カイトとアイスとクリスマス!(前編)
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悪食娘コンチータ 第三章 暴食の末路(パート4)
翌朝十月十三日の早朝五時、オルスはほんのりとした寝不足を感じながらも夢うつつから覚めて、はっきりとその瞳を見開いた。グリスと約束した時刻は六時だったか。三十分ほどすれば出立しなければならないな、とオルスは考えてベッドから降り、昨晩の内に用意しておい...小説版 悪食娘コンチータ 第三章(パート4)
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悪食娘コンチータ 第三章 暴食の末路(パート3)
「大体、貴方が言っていた、ヴァンヌとやらの証言通りね。いえ、もっと酷いことになってそうだと言った方がいいかしら?」
明るく映える長い髪を揺らしながら、どの人間が見ても美しいと表現するだろう女性が艶かしい口調でそう言った。女性の名はルカという。黄の...小説版 悪食娘コンチータ 第三章(パート3)
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悪食娘コンチータ 第三章 暴食の末路(パート2)
「グリス先生?」
不思議そうな口調でそう言った少女の声で、グリスは漸く我に返ったかのように瞳を瞬かせた。
「ああ、フレア君。なんだったかな?」
やれやれ、私としたことが情けない。そう思いながらグリスはそう答える。ヴァンヌとの面談を終えて数日後...小説版 悪食娘コンチータ 第三章(パート2)
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悪食娘コンチータ 第三章 暴食の末路(パート1)
王立学校講師兼一般内務官であるグリス=アキテーヌの元には、彼が好むと好まざるとを問わず、様々な人間が自然の内に訪れる。裁判制度や警察制度がまだ確立されていないこの時代において、民衆からの不満の解消や治安維持、それに揉め事、権利義務の主張などを申...小説版 悪食娘コンチータ 第三章(パート1)
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悪食娘コンチータ 扉絵
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今回の項目は、気持ち悪くて途中読めなかった人向けのあらすじです。
そんなに怖い表現とか、気持ち悪い表現は使ってないつもりです。
しっかり全部読んでいただいた方は飛ばしてしまって構いません。
・・と言っても、第三章の投稿は来週になりますが・・。
ではでは、お気軽にどうぞ。
悪食娘 コンチータ 第二章(...小説版 悪食娘コンチータ 特別編 第二章のあらすじ