タグ:二次創作
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6.
「ごめんなさい。そう言っていただけるのはすごく嬉しいです。でも……ダメなんです。
……え?
いえ、そういうわけじゃありません。私は誰かと付き合っているわけではないですし、今も、きっとこれからも一人です。
自分がどんな人間なのか、てんちょ……本橋、さん……は、ご存じありません。それが……そ...水箱 6 ※二次創作
周雷文吾
5.
「みくさん。今度……一緒にご飯でもどうですか?」
――断らなきゃいけなかったのに、なんでうなずいてしまったんだろう……?
みくはそんなことを考えながら、呆然と眼前のイタリアンを見つめた。
本橋にそう誘われたのは、働き始めて四ヶ月たった頃のことだった。
仕事の流れや、多岐にわたる商品につ...水箱 5 ※二次創作
周雷文吾
4.
みくが次のパート先を見つけるのに、一週間かかった。
一ヶ月くらいはかかってしまうのではないかと思っていただけに、みくは少しだけホッとした。
多少なりともお金が貯まっていたとはいえ、あくまでそれはみくの主観による金額だ。実際のところは全財産が一万円ちょっとしかない金額であり、二十七歳の全財...水箱 4 ※二次創作
周雷文吾
3.
勉強が可能だということと、勉強が得意だということは全く意味が違う。
そんな、当たり前の事実がみくを苦しめる。
漢字の書き取りも苦手だったが、数学はそんなものとは比較にならなかった。
そもそも中学校レベルの数学についていけなかったみくは、特別に小学校レベルの内容から教えてもらっていた。
...水箱 3 ※二次創作
周雷文吾
2.
「お客様。なにかご案内しましょうか?」
その言葉にハッとして、みくは手にしていたベビー服をあわてて棚に戻す。
「あ……ごめんなさい。大丈夫です」
「なにかあればお呼びくださいね。色違いやサイズ違いも案内できますので」
みくの態度に不審そうな態度をとることなく、みくにはできそうにないほがらか...水箱 2 ※二次創作
周雷文吾
水箱 ※二次創作
1.
「え……? パートを辞めたいだって?」
パイプ椅子で向かい合って座っていたスーパーの店長は、そう言ってから弱ったな、と言いたげに頭をかいた。
パートを辞めたい、と言った当の本人――みくは、店長にウダウダと言われることがわかっていたし、そう言われたところで自分が意見を変える...水箱 1 ※二次創作
周雷文吾
13 現在:同日
頭が真っ白になった。
なんてことを。
まさか本当に言ってしまうなんて。
未来の顔を直視できない。
ありったけの罵詈雑言を“彼女”へとぶつける。が、当の“彼女”はどこ吹く風だ。
『言わなきゃいけなかった。だけど言えなかった。だからあたしが代わりに言った。ただそれだけよ。これ...私とジュリエット 13 ※二次創作
周雷文吾
12 現在:2日目
「……」
朝食から帰ってきて、あたしは部屋のバルコニーの安楽椅子で外を眺めていた。
昨夜の夜景とほとんど同じアングルで、山間から市街地と別府湾を見下ろす。宝石のきらめきだったそれは、蒼穹と建物群に様変わりしていて、別世界から現実へと移り変わっていた。
これはこれですごくいい...私とジュリエット 12 ※二次創作
周雷文吾
11 8年前:同日
ロミオとジュリエット。
シンデレラ。
白雪姫。
銀河鉄道の夜。
小さい頃、そんな物語の劇を見に行っていた。
もちろん、両親につれられてのことだ。
生前、休みがなかなか合わないパパとママが珍しく一緒に休める時は、劇を見に行く、っていうのが我が家の一大イベントだったのだ...私とジュリエット 11 ※二次創作
周雷文吾
10 8年前:10月21日
「あ……愛、ちゃん?」
「あれ、海斗さんじゃん。あたしの未来ならここ何日か休んでますよー」
学校が終わって帰ろうとしていた矢先、あたしは海斗さんに校門で呼び止められた。
「メールも返信来ないんで、ちょっと心配してたんですけど」
「そう……か……」
「……?」
なんだか...私とジュリエット 10 ※二次創作
周雷文吾
9 2ヵ月前
「あれ。愛先輩って旅行とか好きでしたっけ?」
深夜、会社のデスクで息抜きに広げていた雑誌に写っている、旅館の若女将に目を奪われていたら、後輩に声をかけられた。
「んー。たまには……いいかなって」
「ウチ、かなりブラックですしねー。休める時にそういう息抜きするって大事ですよね」
「そー...私とジュリエット 9 ※二次創作
周雷文吾
8 現在:2日目
「あれ、おねーさん一人? こんなところで美人に会えるなんて思ってなかったなぁ」
「はいはい。あんたみたいなのに興味ないから、ほっといてくれる?」
未来と深夜まで家族風呂に入った翌日。朝食後にロビーでくつろいでいたら、知らない男に声をかけられた。
コーヒー片手にソファに座ってぼん...私とジュリエット 8 ※二次創作
周雷文吾
7 8年前:10月4日
「実行委員会か……本当、忙しいんだね」
「未来、本当は実行委員会じゃなくて、生徒会なんですけどね」
学園祭のお昼過ぎ、あたしは海斗さんにおごってもらったたこ焼きの最後の一つをほお張りながら、そう告げる。
ついさっきまで未来があたしの隣に座ってて、再会した海斗さんを前にどぎ...私とジュリエット 7 ※二次創作
周雷文吾
6 7年前:5月11日
「ううー……」
「未来、どしたの? 海斗さんとケンカ?」
「いや、そーじゃなくて……」
教室で、そう言いながら未来が机に突っ伏す。
あたしの「海斗さん」という言葉を耳ざとく聞きつけた周囲の男子が、かすかにざわついた。
未来は未だに自分が美人だっていう自覚がない。海斗さん...私とジュリエット 6 ※二次創作
周雷文吾
5 現在:1日目夜
脱衣場から外に出ると、湯気の向こうに圧巻の情景が待ち受けていた。
「ホントだ。きれー……」
「でしょ?」
ちょっと自慢げな未来の言葉も、あんまり耳に入らない。
家族風呂は檜風呂で、小ぢんまりしているとはいえ、二、三人くらいならゆったり入れる大きさだ。上から楓の木も葉を繁らせ...私とジュリエット 5 ※二次創作
周雷文吾
4 10年前
『パパとママに対する気持ちなんて、その程度だったのかしらね』
まさかと思い、婦警さんを突き飛ばして離れようとした。けれど、婦警さんはそもそもあたしがなんで泣き出したのかもわかってなくて、きょとんとしたままだった。そこでようやく、婦警さんと違う声だって遅れて気づいて……でも、じゃあ誰の...私とジュリエット 4 ※二次創作
周雷文吾
3 12-10年前
あたしの両親は、あたしが中学一年の時に死んだ。
交通事故だった。
アクセルとブレーキを踏み間違えた軽自動車が歩道に乗り上げ、周囲の通行人を七人も轢いたあげく、街路樹に衝突して止まった。
七人のうち、未就学児の男の子とそのお祖母ちゃん、そしてあたしの両親の四人がこの世を去っ...私とジュリエット 3 ※二次創作
周雷文吾
2 8年前:10月22日
あたしは、隣で眠る未来の髪をすく。
しばらくお風呂にも入っていなかったみたいで、ついさっきあたしと一緒に入ったのが一週間ぶりくらいだったらしい。その一回くらいじゃ髪質は全然戻ってなくて、あたしが羨ましくてたまらなかったサラサラツヤツヤのストレートだったはずのそれは、今す...私とジュリエット 2 ※二次創作
周雷文吾
私とジュリエット ※二次創作
1 現在:1日目
『次はー、始音温泉。始音温泉でございます。お降りのお客様は、お近くのボタンでお知らせください――』
バスの車窓に流れる山林をぼんやり眺めていたあたしは、運転手のアナウンスにハッとして手近のボタンを押した。
運転手はすごく渋い声で次のバス停での停車を...私とジュリエット 1 ※二次創作
周雷文吾
≪ストラトステラ 後編≫
4
祝福の鐘に到着した時には、街は淡い黄昏に染まっていた。
ビルが、道が、車が、山が、空が、朱色に染まっていく。
空にはひときわ輝く星が一つ、浮かんでいた。
「まさかほんとうに来ることが出来るなんて――」
ステラは泣いていた。
僕はそれを見て、泣きそう...【二次創作】ストラトステラ 後編
aurora
――ステラはひとつ、魔法をかけました。
――それは世界の誰にも気づかれないように、ほんとうに些細なものでした。
――もしも私が明日死んだら、すべての光が無くなってしまいますように。
≪ストラトステラ 前編≫
1
白い病室の扉を、僕は開けた。
そこでは一人の少女が、柔和な笑...【二次創作】ストラトステラ 前編
aurora
一枚の銀貨を僕は指で弾いた。
空を舞って、銀貨は僕の指の上に落ちる。
薄暗い空の下、僕たちは廃材を集めている。
そうしてお金にして、食べ物を買うのだ。
まあ、そんなこと簡単に毎日うまくいくはずもない。だって、廃材だって使えるものと使えないものがある。缶を見つければ儲けもん。さらにアルミ缶な...【二次創作】ロケットサイダー
aurora
梅雨も明けて暫く経つと思うのは晴天がもう一週間近くも続いた時である。確かに、そういうときならば嫌でも「あぁ、夏だな」と思うことだろう。
空にエベレストの如く聳える入道雲を見て、青年は絵を描いていた。
青年はここ暫くの記憶がなかった。もっと言うならば、『二年前の八月から』記憶が飛んでいた。それ以...【二次創作】サマータイムレコード【前編】
aurora
【Aメロ(咲夜)】
まだ小さな子どもの頃
貴女に救われた
名も無き私に 名付けてくれた親
【サビ】
ありがとう ありがとう
吸血鬼の主 私の主
【Bメロ(パチュリー)】
昔の私は 独りだった
淋しい思いして 逃げて来たけど...東方夢幻想
禾厶
【Bメロ イントロ】
一人じゃないよ 隣を見れば
世界は輝いているから
【Aメロ】
森の奥の 私を誘う
恐れられた 記憶の中
【Bメロ サビ】
暗闇の中で 泣いていたあなたの
顔を見る度 哀しくなる
あの時の衝動 止められなかった...踊曲夜行
禾厶
【Cメロ イントロ】
暗く 狭く 未知の世界で
同じ 夢を 見ていたはずなのに
迷い 失う 物は大き過ぎて
小さな鬼の唄
【Aメロ】
ずっと一緒に居ようって
約束したあの木の下
まるで奥深くの記憶から
映し出す写真のよう...咲月
禾厶
【Aメロ】
静かに光る 夜空の星達よ
私の時間を 少しずつ削って
可憐に舞い降りる 地上の星達よ
誰かの魂を 迎えに行くのだろうか
(伴奏)
【A'メロ】
冷たく光るのは 銀色のティースプーン
黄金色の暖かい 紅茶に放り投げて
貴女は今どこで 何をしてるのでしょう...亡き王女の為のレクイエム
禾厶
「寒いですわ…やはり家出なんてするべきではなかったのかもしれないわ」
いけない。この喋りかた、直さなくては…
それに出てきて正解ですわ。家にいればあの丸々太った気持ちの悪いあの方と結婚しなければなりませんもの。
リリアンヌ…あなたには悪いわね。でも私は行くわ。もう帰らない。
そんな少女の行く手を阻む...La révolutionnaire (ラ レボリューショナル)1.0.2
Vクリエーター 紅 Lyriane 紗月
【イントロ】
Ah...Ah...Ah...Ah...
【Aメロ】
今宵の舞踏は 紅い月の世
皆が集まって 鳴り響く鐘
【Bメロ】
さあ 一緒に踊りましょう
華やかな悪魔のワルツで
まだ始まったばかりよ
今宵はこれからなの...U.N.requiem girl
禾厶
着想・歌詞引用元/ひらさき様『秋煙』
陽の傾きかけた夕方の街を、草薙瑠香(くさなぎ るか)は靴音高く歩く。カツカツと鳴る固い音がアスファルトを叩き、石造りの街の闇に吸い込まれてゆく。
ふいに首筋をなぜた涼しい風に、瑠香は思わず身をすくめた。風が、まるで細い糸が巻き付くように、するりと喉元を締め上...秋煙 ~金木犀の薫るころ~
wanita