ブクマつながり
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日曜日を一日使って、俺は『ピグマリオン』をPCのテキストデータへと移した。かなり面倒だし時間がかかったが、ネットに公開されているフリーの訳とかが無いんだから仕方がない。これで、後はこのデータのどこに修正をかけるかを決めて、決定稿になったらプリントアウトしてからコピーしてみんなに配ればいい。
巡音...アナザー:ロミオとシンデレラ 第三十三話【見てもいいが触るのはいけない】前編
目白皐月
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以前クオの首が絞まったホームシアタールームにて、俺たちは初音さんお薦めのクリスマスのラヴコメ映画とやらを見ることになった。話は初音さんが好きそうな感じの可愛らしい話だったが、意外と面白かった。ハリウッド内幕物の要素が入っていたせいだろうか。舞台裏が映る作品って、昔から好きだったりする。
映画が終...アナザー:ロミオとシンデレラ 第四十九話【言わなくてはならないことがある】前編
目白皐月
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俺が帰宅してからしばらくして、クオから携帯に電話がかかってきた。
「……もしもし」
取った電話の向こうで、クオが黙り込む。……おい、お前の方からかけてきたんだろ。
しばらく待っていると、ようやくクオが口を開いた。
「レン……今日のことは悪かったよ」
巡音さんにバカをけしかけたことを言ってんの...アナザー:ロミオとシンデレラ 第三十六話【どうかここにいて】
目白皐月
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自分の教室に入って席につくと、ようやくわたしは少しだけ落ち着いた。ミクちゃんは自分の席から椅子を引きずってきて、わたしの向かいに座っている。
「災難だったね、リンちゃん」
「……うん。ものすごく驚いたし……怖かった……」
一体何だったんだろう、さっきの人。思い出したらまた気分が悪くなってきた。
...ロミオとシンデレラ 第三十六話【もう飛ぶまいぞ、この蝶々】後編
目白皐月
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それからしばらく、俺たちは戯曲の話をしたり、公園を散歩したりして過ごした。巡音さんも午後になると多少は気分が上向いてきたらしく、笑ってくれるようになった。
三時になると、巡音さんは淋しげに「もう帰らなくちゃ。今日はありがとう」と言って、帰って行った。……本当のことを言うと家まで送って行ってあげた...アナザー:ロミオとシンデレラ 第三十二話【疑問は多くあれど答えは少ない】
目白皐月
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金曜の夜、なんだかよくわからない食事会の後で帰宅した俺は、自室のPCで柳影公園の場所を調べた。そこそこ距離があるな。巡音さんはよく知ってるみたいだから、彼女の家からすると行きやすいんだろう。
翌日、普通の時間に起きだした俺は、朝食を取って身支度をすると、ポケットに財布と家の鍵と携帯を突っ込んで、...アナザー:ロミオとシンデレラ 第三十話【折れた翼であの子は歌う】前編
目白皐月
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「ルカおねえちゃん、あそんで」
「今お勉強でいそがしいの」
「ルカおねえちゃん、なんでいつもおべんきょうなの?」
「大事なことだから。リン、あんたももっとお勉強しなさい」
「……リン、おべんきょうきらい」
「お勉強ができないと、パパにほめてもらえないわよ」
「いいもん、ほめてもらえなくたって。ママは...ロミオとシンデレラ 三十四話【やがて綺麗に澄んでゆるやかに】
目白皐月
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普段より早く自宅を出たので、当然、学校に着いた時間も早かった。とはいえ、もう開いているので、教室に入って自分の席に着く。……まだ誰も来ていない。
わたしはがらんとした教室を見回した。……鏡音君の席が目に入る。途端、また、昨日のことを思い出してしまった。ああもう、いい加減にしないと。鏡音君と顔をあ...ロミオとシンデレラ 第二十六話【アングルド・ロード】後編
目白皐月
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駅に着くと、僕は帯人兄さんの住んでいる家の最寄り駅までの切符を買った。改札を抜けて電車に乗る。電車に揺られながら、僕は今度は帯人兄さんのことを考えていた。ちょっとは落ち着いていてくれるといいんだけど……。
次兄の帯人兄さんは、僕の五歳上。優等生だったマイト兄さんと比べると、帯人兄さんは「問題児」...ロミオとシンデレラ 外伝その十五【カイトの悩み】後編
目白皐月
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あれ以来、レン君はわたしに、CDや本を貸してくれるようになった。少し後ろめたい気持ちはあったけれど、わたしは好奇心に勝てず、そういったものを貸してもらった。今まであまり聞いたことのなかった音楽や、読んだことのなかったタイプの本。世の中には色々なものがあるのだと、改めて気づいた。
お返しというわけ...ロミオとシンデレラ 第五十一話【恋はハートが決めるもの】前編
目白皐月
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巡音さんが言葉どおり『ピグマリオン』を貸してくれたので、俺は休み時間や、部活が始まるまでの短い時間に、最初の方を読んでみた。……映画を見た時はそこまで感じなかったけど、ヒギンズ教授って相当性格イタくないか? まあ、そこがギャグとして機能してるんだろうが……。お前はだだっ子かよ、と突っ込みたくなる部...
アナザー:ロミオとシンデレラ 第二十五話【自分はありふれた人間】
目白皐月
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注意書き
これは、拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
ルカが小学校の時に、課題でつけていた日記を抜粋したもので、時期としては日記のつけはじめ~最初の継母が出て行くまで(ルカが三年生の春)となっています。
なお、ルカは小学生ですが、家庭教師について幼稚園の頃から勉強していたために、そこそこ...ロミオとシンデレラ 外伝その十二【ルカの日記】前編
目白皐月
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俺の計画は、あっさり破綻した。昼休みにミクからメールが届いたのだ。「鏡音君がリンちゃんに話してるのを聞いたんだけど、演劇部お休みなんだって? 一緒に帰れるね」と書かれている。レンの奴、巡音さんに部活が休みになったこと喋ったのかよ! あいつ、何てことしてくれたんだ! 意趣返しのつもりなのかっ!? き...
ロミオとシンデレラ 第三十八話【クオの後悔】後編
目白皐月
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注意書き
これは、拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
レンの姉、メイコの視点で、外伝その八【あの子はカモメ】外伝その九【突然の連絡】の続きです。
この作品に関しては、『アナザー:ロミオとシンデレラ』を第二十三話【真実はいつも少し苦い】まで読んでから、読むことを推奨します。
【シンデレラ...ロミオとシンデレラ 外伝その十【シンデレラごっこ】前編
目白皐月
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わたしはその日、授業を受けながらクオのことを考えていた。クオがあの男の子に「ミクにちょっかい出すな」と言ったのは、わたしのことを心配してのことだろう。それは間違いない。それ意外に、クオがそんなことをする理由、ないもの。
でもじゃあ、クオはどうしてあの男の子をけしかけるような真似をしたのかしら? ...アナザー:ロミオとシンデレラ 第三十五話【ミクのお茶会】後編
目白皐月
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「巡音さん、ちょっといい?」
水曜日の放課後、俺は巡音さんにそう声をかけた。
「……鏡音君、どうしたの?」
とりあえず、また以前のように話せるようにはなっている。……これでいいんだよ、これで。……多分ね。
「実はちょっと相談に乗ってほしいことがあって」
「え……わたしに?」
心底驚いたといった...アナザー:ロミオとシンデレラ 第二十四話【ショウほど素敵な商売はない】
目白皐月
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四人で遊園地に行った翌朝、俺は落ち着かない気分で目覚めた。今日は月曜だ……。そういや、『憂鬱な月曜日』って歌、あったなあ。断っとくけど、死にたいわけじゃないぞ。
ベッドから抜け出して一階に下りる。洗面所に行って顔を洗い、居間へ行く。台所では、姉貴が朝食の支度をしていた。
「おはよう、姉貴」
「お...アナザー:ロミオとシンデレラ 第二十三話【真実はいつも少し苦い】前編
目白皐月
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言われた意味を理解するまで、またしばらくかかった。カードの文章は、ミミがロジャーに気持ちを告げるところのもの。ずっと愛していたって……。
それって……レン君がわたしを好きだってこと? ロジャーがミミを好きなように? いえ、台詞はミミだけど……いやだ、なんだか頭が上手く回らない。
心臓の鼓動が早...ロミオとシンデレラ 第五十四話【もつれた糸玉】後編
目白皐月
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注意書き
これは、拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
リンの長姉、ルカの視点で、彼女の九歳の誕生日の話です。
この話に関しては、外伝【わたしはいい子】【ルカの日記】を読んでから、読むことを推奨します。
【ケーキと愛情】
「ルカ、もうじきおたんじょう日よね」
パパとさいこんして、新しい...ロミオとシンデレラ 外伝その十四【ケーキと愛情】
目白皐月
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日曜日、ルカ姉さんは仕事関係で一日出かけていたので、顔をあわせずに済んだ。月曜日になると、わたしも少し落ち着いてきて、一緒の食卓に着くぐらいのことはできるようになった。
……といっても、なんとかパニックにならずに席に着いていられるというだけ。話をするのはおろか、顔を見ることもまともにできない。下...ロミオとシンデレラ 第五十話【すりきれた心は休ませなさい】
目白皐月
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「……生きた人間が出てこないお芝居は演じにくい?」
ちょっとふざけて、わたしは鏡音君にそう訊いてみた。
「人生を描くには、あるがままでもいけなくて、かくあるべきでもいけなくて、自由な空想に現れる形じゃないといけないんだよ」
あ……わかるんだ。何だか嬉しい。
「お芝居には恋愛が必要なのよ」
そこ...ロミオとシンデレラ 第二十七話【お芝居には恋愛が必要】後編
目白皐月
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「だってフレディって、何の役にも立ちそうにないじゃないか。確か定職ついてなかっただろ、あいつ。そんな甲斐性なしと一緒になっても、幸せにはなれないんじゃないの?」
鏡音君はきつい口調でそう言った。役に立ちそうにないって……。確かにタクシー捕まえられなくて、母親と妹に呆れられたりしているけど……。どう...ロミオとシンデレラ 第二十九話【愛される権利】後編
目白皐月
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下駄箱まで来て、靴を取り出そうとした時、わたしは運転手さんにメールを送っていないことに気がついた。あ……しまったな。しばらく、お迎えを待たないといけない。
わたしはため息をつくと、鞄を開けて携帯を探し、メールを送信した。その時だった。
「良かった……まだいたんだ」
「え……?」
わたしは驚いて...ロミオとシンデレラ 第三十話【ガラテアはピグマリオンに恋はしない】
目白皐月
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「ついでにさ、あの人は変なところでプライドが高いから、目の前にいるイライザのことをちゃんと認めてあげられないんだよ。イライザのことをいつまでも花売り娘ってバカにしてるけど、家のあれこれを任せてたってことは、本当は信頼してたってことだろうし」
ただの花売り娘だったら、あんな短時間でちゃんとした貴婦人...アナザー:ロミオとシンデレラ 第二十六話【望むのはどこかの部屋】後編
目白皐月
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「もういいこいつは埋める!」
「あ、手伝うわ」
「レン、落ち着けっ! 蜜音も煽るんじゃない!」
クオが俺の制服をつかんだ。なんで止めるんだよ。こいつは埋めた方が世の中のためだぞ。
「あのなあコウ、好きでもない男に抱きつかれて喜ぶ女の子なんかいないんだよ。グミがああ言うのは、グミが俺のことを好きだか...アナザー:ロミオとシンデレラ 第三十三話【見てもいいが触るのはいけない】後編
目白皐月
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その次の日、夫は遠出する必要があるとかで、朝早く起きてきた。そしてあわただしく朝食を食べると、ルカを連れて出かけてしまった。その前に、リンを今日と明日は外出禁止にしたので外へ出すなとだけは言っていったが。……そういうことだけは、いつも忘れない。娘の誕生日を憶えているかどうかすら、怪しいのに。
普...ロミオとシンデレラ 外伝その十一【ほんの少しの優しさを】後編
目白皐月
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金曜日は姉貴が食事当番なので、俺は買い物はせずに自宅に帰った。十一月なので、もう辺りは真っ暗だ。これからどんどん暗くなるのが早くなるのかと思うと、毎年のこととはいえちょっと気が滅入る。
自宅の前まで来た辺りで、俺は家の前に誰か立っているのに気がついた。……ん? 誰だあいつ。シルエットからすると男...アナザー:ロミオとシンデレラ 第二十九話【未知との遭遇】前編
目白皐月
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次の日、わたしは『ピグマリオン』を鞄に入れて登校した。鏡音君が登校してきたので、本を渡す。本を受け取った鏡音君が喜んでくれたので、わたしは少し安堵した。少なくとも、一つはいいことができた。
その日の昼休み、いつものようにミクちゃんとお弁当を食べていたわたしは、ふと思い立ってミクちゃんに訊いてみた...ロミオとシンデレラ 第二十八話【わたしには姉さんがわからない】
目白皐月
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結論から言うと、わたしの怪我は大したことはなかった。脳の映像を撮ってもらったりしたけれど、異常は何もないということで、一週間で家に帰れることになった。土曜日の午前中、お母さんが迎えに来てくれて、わたしは多少の怯えを感じながらも帰宅した。
お母さんは、ミクちゃんのお見舞いのことについては、特に何も...ロミオとシンデレラ 第四十八話【一人離れて行く者】
目白皐月
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年が明けた。わたしは、重たい気分で目を覚ました。今日は元旦だから、家にはお客さんが来る。毎年の恒例行事。
朝食を食べた後、わたしとルカ姉さんは、お母さんに着物を着せてもらった。ルカ姉さんは濃紺に梅の柄、わたしのは淡い緑に福寿草の柄だ。
正確に言えば、着せてもらったのはわたしだけで、ルカ姉さんは...ロミオとシンデレラ 第五十七話【こうもりワルツ】
目白皐月
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次の日、わたしはいつもと同じ時間に登校した。昇降口に入った時は、ちょっとだけ怖さを感じたけれど、もうあの男の子もいなかったし……。
教室に入って、本を開く。今日持ってきたのは、ジョルジュ・サンドの『愛の妖精』だ。フランスの農村を舞台にした、双子の兄弟と風変わりな少女の恋の話。
「おはよう、巡音さ...ロミオとシンデレラ 第四十話【空想の虹はすばやくかききえる】
目白皐月
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注意書き
これは、拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
『アナザー:ロミオとシンデレラ』の方に登場した、メイコのボス、マイコ先生の弟のカイトの視点です。
この作品に関しては、『アナザー:ロミオとシンデレラ』を第四十三話【君に出あってからは旋風のようで】まで読んでから、読むことを推奨します。
...ロミオとシンデレラ 外伝その十五【カイトの悩み】前編
目白皐月
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月曜の昼休み、俺はミクから、巡音さんが階段から落ちて、入院する羽目になったと聞かされた。
階段から落ちただけならドジだなあ、で、済むが、入院となると大事だ。何だってまた、と思ったが、ミクも細かい話は聞いていないらしい。
「そういうわけだから、わたし、放課後はリンちゃんのお見舞いに行ってくるわ」
...ロミオとシンデレラ 第四十九話【クオ、部活にて】
目白皐月
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注意書き
これは、拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
リンの次姉、ハクの視点で、第十九話【死ぬ前に一度は生きてみたい】の直後の話です。 よってこの作品を読む際は、『ロミオとシンデレラ』第十九話【死ぬ前に一度は生きてみたい】までと、外伝その八【あの子はカモメ】を読んでから、読むことを推奨しま...ロミオとシンデレラ 外伝その九【突然の連絡】前編
目白皐月
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わたしが幾ら悩んでいても、朝はいつもどおりやってくる。憂鬱な気分で起きだしたわたしは、洗面所で顔を洗うと、部屋に戻って制服に着替えた。鏡を見ながら髪を梳いて、リボンを結ぶ。学校……行ったら、鏡音君に会うわよね。同じクラスだもの。
どうしてわたしは、鏡音君に迷惑ばかりかけ倒しているんだろう? 事の...ロミオとシンデレラ 第二十六話【アングルド・ロード】前編
目白皐月
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ハク姉さんとひと悶着あってから二日後。放課後に、鏡音君がわたしに声をかけてきた。
「巡音さん、ちょっといい?」
「……鏡音君、どうしたの?」
例の「好き」と「嫌いじゃない」の話のおかげか、わたしたちは、また普通に話せるようになっていた。……ミラーハウスでのことは事故だったと思って、忘れた方がいい...ロミオとシンデレラ 第二十七話【お芝居には恋愛が必要】前編
目白皐月
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ルカ姉さんがわたしに助けを求める……そんなこと、あるんだろうか? ……あるはずがない。だってルカ姉さんにとってわたしは、いない方がいいんだから。
でも……鏡音君がかけてくれた言葉の中のわずかな希望に、わたしは縋ってしまった。縋らずにはいられなかった。それは一種の逃避に過ぎないのに、そんなことある...ロミオとシンデレラ 第四十三話【歌の翼に乗せて】後編
目白皐月
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その次の日。わたしは鬱々とした気分で目を覚ました。時計を見る。結構早いな……いつもより早いぐらい。学校の支度……あ、今日は第二土曜だから、学校は無いんだっけ。
あれ……? 意識に何か引っかかってるな……?
首を軽く横に振りながら、わたしは身体を起こした。いやだ、わたしったら服のままで寝ちゃった...ロミオとシンデレラ 第三十三話【どうしても影がほしいの】前編
目白皐月
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その日の夕食は、ルカ姉さんも一緒だった。朝と同じで、やっぱり平然としている。わたしを叩いたことは、ルカ姉さんの中でどうなっているんだろう?
どうしよう。ルカ姉さんと話をしてみる? それともやめておく? どちらを選んだらいいのか、しばらく考えてみる。
……やっぱり、このままにはできないわよね。話...ロミオとシンデレラ 第三十二話【これと結婚するの?】
目白皐月
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家に着いた時も、わたしの気分は沈んだままだった。下を向いたまま家のドアを開けて、中に入る。
「ただいま」
答える人はいない。お手伝いさんはこの辺りにはいないようだ。わたしは居間に向かった。……誰もいない。テーブルの上に、メモが置いてあった。
「お帰り、リン。今日は急なうちあわせが入ったので、出か...ロミオとシンデレラ 第四十二話【辛すぎる忍耐は心を石に】前編
目白皐月
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注意書き:
これは拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
リンの継母、カエさんの視点で、第二十七話【お芝居には恋愛が必要】~第三十五話【瞳の中は星でいっぱい】までのサイドエピソードになります。
よって、『ロミオとシンデレラ』を【瞳の中は星でいっぱい】まで読んでから、読むことを推奨します。
...ロミオとシンデレラ 外伝その十一【ほんの少しの優しさを】前編
目白皐月
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夢を見た。
わたしがいるのは青白い光で照らされた部屋の中。どこから光が来るのかわからないけれど……。照らされているといっても強い光ではないので、部屋の全体は見えない。
わたしは部屋の壁に近づいてみた。光のせいで青白く染まっているけれど、もとは半透明みたい。半透明だから、向こう側は見えない。さわ...ロミオとシンデレラ 第四十七話【無くし物をした少女】前編
目白皐月
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結局、わたしは鏡音君と、『ピグマリオン』の話をしたり、公園を散歩したりして、三時ぐらいまで一緒に過ごしてしまった。……楽しいと思える時間は、あっという間に過ぎてしまう。
本音を言えばもっと公園にいたかったけれど、さすがにそろそろ帰らなくてはまずい。公園から自宅までは歩いて四十分ぐらいだ。門限には...ロミオとシンデレラ 第三十五話【瞳の中は星でいっぱい】
目白皐月
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……コウが巡音さんに一目惚れした時、俺は正直、コウのことも巡音さんのこともどうでも良かった。いや、嘘は良くないな。
はっきり言おう。俺は巡音さんのことを不快に思っていた。巡音さんはミクの幼馴染で親友なのは知っているが、だからといって俺が好意を抱くわけじゃない。本人が俺を前にするといつもおどおどと...ロミオとシンデレラ 第三十八話【クオの後悔】前編
目白皐月
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というわけで、何故か洋食屋まで移動して、全員で食事をすることになってしまった。あ、さすがに一度家に入って着替えたぞ。制服のままで食事に行きたくない。
「さてと……カイト、とっとと白状しなさい。なんでめーちゃんの家の前をうろうろしていたの?」
テーブルに座り、ウェイトレスに注文を告げると、マイコ先...アナザー:ロミオとシンデレラ 第二十九話【未知との遭遇】後編
目白皐月
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ミクが「レンと巡音さんをくっつけよう」と言い出したのは、十月の頭のことだった。それから一ヶ月ちょっとが経過した現在、事態は妙なことになってきている。
もともと俺は、この作戦に乗り気じゃなかった。レンとは確かに仲がいいが、他人の色恋沙汰になんか興味は無い。それに、どう見てもレンは巡音さんに興味は無...ロミオとシンデレラ 第三十一話【クオの不満】
目白皐月
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鏡音君のお姉さんが作ってくれたパスタは、とても美味しかった。鏡音君はああ言っていたけど、多分謙遜していたのだろう。
そのお姉さんは、わたしのお弁当箱のおかずを「美味しい」と感激しながら食べていた。鏡音君がやや呆れた表情で、そんなお姉さんを見ている。
ハク姉さんの先輩ということは、ルカ姉さんとハ...ロミオとシンデレラ 第十八話【何がわたしの心をひきつけるの】前編
目白皐月
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クオの家で映画を見てから、数日が経過したある日。俺は学校の図書室で『RENT』のサントラを聞きながら、歌詞をチェックしていた。この前見た舞台は字幕がいいかげんで、話の意味を取りづらかったんだよな。そんなわけでネット通販でサントラを購入したんだが、歌詞カードがついていなかった。幸い、歌詞を全部載せて...
アナザー:ロミオとシンデレラ 第六話【檻の虎に太陽を見せて】
目白皐月
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図書館に着いたわたしは、座席に座ってひとしきり勉強した。集中しきっていたため、時間の経過に気づかず、気がつくと閉館の時間になっていた。いけない、もう外は暗くなりかけている。荷物をまとめ、わたしは帰路についた。
帰り道では、行きのような妙な人に遭遇することはなく、家まで真っ直ぐにたどり着いた。玄関...ロミオとシンデレラ 外伝その七【ある日のアクシデント】後編
目白皐月
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注意書き
これは、拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
リンの次姉、ハクの視点で、彼女の実母が出て行く前~出て行った後のエピソードです。
年齢を考えてひらがなばかりにしたので、読みにくいかもしれませんが、ご了承ください。
【ママ、かえってきて】
さいきん、ママがなにかおかしい。ぜんぜん...ロミオとシンデレラ 外伝その二【ママ、かえってきて】
目白皐月