タグ:病音ヤミ
30件
三人で細長い通路を駆け抜けていく。
これからどうするか、そう脳内で模索を続けながら。
「ワラ、ヤミ。で、脱出の目処は立っているか。」
「ええ。ちょっと大げさな方法かもしれませんが。」
「大げさっていうか、大胆な感じ?」
足を止めず、ワラとヤミが答える。
「ほう、どうするんだ。」
「こ...SUCCESSOR's OF JIHAD第七十一話「光射す先へ」
FOX2
今まで行動を共にしていたはずの二人が、突如として、俺に刃の矛先を向けていた。
「おい!どうしたんだ二人とも!」
呼びかけても二人から返事はなく、次の瞬間、俺はワラの放った大蛇の如き草日から身を翻していた。
「ミクオ!!どういうことだ!」
振り向くとミクオのいた場所に巨大な光の円が飛び去り...SUCCESSOR's OF JIHAD第七十話「Indulge in TWO」
FOX2
ハンガーを出てコンピュータールームに向かう途中、無線機に通信が入った。
相手側の周波数は分らない。セリカやタイトではないだろう。
「誰だ。」
『僕です。』
無線に応答すると、ミクオの声が返ってきた。
「何の用だ?」
『僕はコンピュータールームに居ます。今、貴方がワームをインストールしや...SUCCESSOR's OF JIHAD第六十九話「処刑」
FOX2
蒼い魔女が微笑んだ。彼女の手招きを目にした瞬間、そんな風に見えた。
四肢に装着した拳銃。流れる青い髪。妖艶な微笑み。
苦音シク・・・・・・。
数百の銃口を向けられようとも、そんな威風堂々たる姿を崩さない彼女の態度に、俺は一瞬、体を縛られたような感覚に陥った。
「デル!おい!!」
背後から...SUCCESSOR's OF JIHAD第六十三話「蒼い魔女」
FOX2
コンソールに視線を巡らせ、ボタンやスイッチ類に指を走らせる。
問題ない・・・・・・こういった航空機の操縦は熟知しているつもりだ。
油圧正常。エンジン異常なし。
飛べる。
コックピット内に、エンジンの躍動が響き始め、メインパネルのモニター類から正常に起動したことを告げる電子音が鳴り響いた。
...SUCCESSOR’s OF JIHAD第五十五話「覚悟」
FOX2
「ようやくお出ましか・・・・・・。」
無意識にそんな言葉が漏れたが、それも頭上に群がる鋼鉄の巨鳥達、VTOLが轟かせるエンジンの爆音でかき消された。
無線にパイロットの通信が入る。
『遅れてすまない。そいつのほかに敵勢力は。』
そいつ。つい今まで俺と激戦を繰り広げた重音テッドは空中のVTO...SUCCESSOR’s OF JIHAD第五十四話「緊急離脱!」
FOX2
午後九時十分。
全ての装備を解きヘッドに身を深く沈めると、脱力感としか言いようのない感覚に襲われた。
今日という日に行った任務は、今まで体験したどの訓練よりも意外な出来事だった。
人質は死に、今となっては仲間であるミクやキクに襲われ、ヘリの大軍団を相手にした・・・・・・。
今までに、二十四...SUCCESSORs OF JIHAD 第四十三話「眠れぬ夜」
FOX2
ノートPCを片手に自動扉を開けると、案の定、思っていた通りの光景が目に入った。
「ミクぅ~~~!今日凄かったねぇアレ!!あのビリビリッてヤツ!!」
「黒奏刀のことか?今日はちょっと本気を出してみたんだ。」
少佐の報告が終わった後、ワラは部屋に戻るなりミクに飛びつき、一人用の狭いベッドに引きず...SUCCESSORs OF JIHAD 第四十二話「その笑顔だけは」
FOX2
水面空軍基地。
何とも清潔な施設内だ。
皆と一緒にヘリポートから施設内に足を踏み入れた瞬間、そう思えた。
床は丁寧に磨かれ、清潔感のある白い壁はそれ自体に発光する装置が組み込まれているらしく、柔らかく目に優しい光を放っている。
俺が今まで過ごしてきた陸軍の研究施設は不潔ではなかったものの、...SUCCESSORs OF JIHAD 第四十話「現状報告」
FOX2
目前に迫る絶望を打ち破るため、俺は親指のスイッチを押し込んだ。
その瞬間凄まじい振動が俺の腕を体後と揺るがし、前方で眩いマズルフラッシュが巻き起こった。
ミニガンから打ち出された弾丸がレーザーのように光線を連ね、ガンシップに吸い込まれていく。
俺はひたすらスイッチを押し続け、次の瞬間、光線...SUCCESSORs OF JIHAD 第三十八話「一日の終わり」
FOX2
短くなり、ただの灰となった煙草の吸殻を携帯灰皿に入れ、俺は再び林を中を歩いた。
見上げれば目標地点である通信連は目の前。俺とシックス達がたった二人の人質をつれて脱出するリカバリーポイントだ。
あのヘリポートにたどり着けば、すぐさまシックスの操作するブラックホークが駆けつけ、俺を迎えに来てくれる...SUCCESSORs OF JIHAD 第三十二話「強襲」
FOX2
今一度深呼吸すると、すうと空気の流れる音が鼻孔内に染み渡り、澱みない新鮮な空気が俺の体内にある人口肺を巡り、次の瞬間にはふうと吐き出された。
ここの空気は今まで吸っていたものとは別物だ。
いくら俺が酸素を必要としないアンドロイドでも、発声には空気を必要とするし普通に呼吸することも出来る。
そ...SUCCESSORs OF JIHAD 第三十一話「心境」
FOX2
「少佐。所長と接触した。だがこいつも死んだぞ!!」
『うーむ、一体どういうことなんだか・・・・・・。』
「何故だ・・・・・・どうしてなんだ!!!」
俺には、この現象が理解できない。
だが、無線越しにいくら少佐に訴えても、目の前で息絶え、今や亡骸となって俺の足元に転がっている所長、春日了司の...SUCCESSORs OF JIHAD 第二十九話「下水道」
FOX2
思えば今まで予想外のことが起こりすぎた。
施設に侵入するなり倉庫連が爆破され、倉庫連から技術研究連に逃げ込んだと思えば正体不明の味方、シックスに遭遇し、成り行きのまま敵部隊と死闘を繰り広げた。
ようやく地下一階にたどり着き、人質が捕らわれている電子演算室に向かおうとすれば失神した兵士達が累々と...SUCCESSORs OF JIHAD 第二十五話「予想と暗示」
FOX2
低く機械音を響かせながら、鉄の箱、エレベーターが下降する感触を俺は直に感じている。
微かな振動が足元から頭の先まで伝わっていくのが分かる。
だが、それ以外は何も感じない殺風景な鉄の箱だ。
俺はいいまでに起こったこと、そして作戦目標の確認のために、少佐の下へ無線を入れた。
「少佐。今技術研究...SUCCESSORs OF JIHAD 第十九話「疑心」
FOX2
扉を抜けた先には、蛍光灯で照らされた鉄の通路がある。
数メートル手前でT字に分かれており、どちらへ向かえばいいかは分からない。
それ以前に、俺の頭の中には先程施設内部に侵入するときに聞こえた航空機のエンジン音、そして、その直後に聞こえた爆発音らしき音が気にかかっている。
あれは一体なんだった...SUCCESSORs OF JIHAD 第十三話「バックアップ」
FOX2
どうして・・・・・・。
どうして、わたしだけが生き残ったんだろう。
キクも、ワラも、ヤミも、タイトも、ミクオも・・・・・・。
誰も自分から死にたいなんて、思うわけがない。
ミクオだって、本当は、死にたくなかったはずなのに・・・・・・。
...Sky of Black Angel 第四十九話「別かれの前に」
FOX2
総合司令室にいる者全てが、モニターに映し出されたミクオの姿を見て愕然とした。
『久しぶりですねぇ世刻司令。』
『ミクオ君・・・・・・何故ですか。』
ストラトスフィアの司令であるミクオと、今までに耳にしたことのない、世刻司令の困惑した声がスピーカーから響いた。
この向こう側のモニターは司令...Sky of Black Angel 第四十二話「決戦へ」
FOX2
任務を終え、雪峰から帰った俺達を出迎えたのは、少佐と司令だった。
タイトがこの世を去ったことは、二人とも既に知っていた。
「タイトさんという英雄のために、黙祷を、捧げましょう・・・・・・。」
司令は、静かに言った。
「・・・・・・。」
目を閉じた俺の頭の中に、昨日、夕日を見ながら...Sky of Black Angel 第三十八話「唖然、戸惑い、怒り」
FOX2
「ソード隊、発進準備を開始せよ。」
無線に管制官の声が聞こえてきた。
深夜00:00時、遂に運命の刻はやって来た。
整備員から敬礼と激励の言葉を受け、俺は機体のコックピットに乗り込んだ。
計器類を操作し、アビオニクス灯が灯る。
命を吹き込まれたエンジンから猛獣の咆哮のような作動音が鳴り響...Sky of Black Angel 第三十七話「価値無き真実」
FOX2
配膳を済ませテーブルに座っても、俺はまだあの件のことを考えていた。
興国核強制撤去作戦のことではない。まあ、それも重要ではあるが、
俺にはもっと気にかかることがあった。
社長との会話に出てきた、ミクのこれまでである。
俺はあのあと、話の内容を頭の中で整理した。
まず目的は分からないが、ミ...Sky of Black Angel 第三十四話「生きて帰れば」
FOX2
興国の軍事力が、何者かによって見る見るうちに削ぎ落とされていく。
いや、誰かなんて想像はついてる。
なぜそうなったのかも。
経緯がどうあれ興国は国として形骸化を始めている。
もうあの国は長くない。
でも、あの国が消えたら、この基地はどうなるのだろうか。
あの国から差し向けられる領空侵犯...Sky of Black Angel 第三十二話「過去、そして、その後」
FOX2
終わった。任務終了だ。
後はこの途方も無い高さの空、成層圏から降りるだけだ。
ストラトスフィアの姿が遠のいていく・・・・・・彼らは何所へと向かうのだろうか。
「ミク・・・還るぞ。」
「ああ・・・。」
俺はレバーを倒して機体の角度を下げた。
ミクは軽やかにウィングを翻した。
大空を自...Sky of Black Angel 第二十九話「紫の鎌」
FOX2
僕がメンテナンスを続けている間、彼は、一言も喋らなかった。
パソコンのモニターには、彼のマザーコンピューターと身体の情報が表示されていた。
一通り終わり、彼の背中から情報伝達用ケーブルを抜き取った。
「はい。終わったよ。とりあえず、コンピューターには異常はなし。バッテリーの容量も不凍液も十分...Sky of Black Angel 第二十六話「ゲノムパイロット」
FOX2
この時点で、俺の頭の中に様々な疑問が渦巻いていた。
だが、どうやらゆっくり考えるのは生きて帰った後のようだ。
《こちら雪峰所属、ロンチ隊。配置についた!!AWACS、指示を請う。》
《こちら水面基地所属警戒管制機ゴッドアイだ。これより各味方航空機に指示を出す。既に百マイルのC-42エリアに...Sky of Black Angel 第二十二話「大空中戦」
FOX2
目の前に立ちはだかる黒い物体・・・・・・。
それは2本の恐竜のような足で直立し、水中潜航が可能な戦闘用アンドロイドだった。
水中潜航のための特異なフォルムに鱗のような光沢をもつ装甲に覆われたボディ。
その全長はざっと5メートル。まるで海洋生物、いや、西洋の伝説に登場しそうな、水に棲む怪物か。...Sky of Black Angel 第二十話「白い鉈」
FOX2
飛行機のエンジン音が部屋に響いてきた。基地へ戻ってきたのだ。
一機、二機、三機、四機、そして五機……たぶんミクだろう。何かの任務だろうか。
僕はベッドに横になると灰色の鉄の天井を見上げた。 タイトとキクは基地の中を散歩してくると言って僕の部屋から出て行ってしまった。無理もない。
この基地は...Sky of Black Angel 第十五話「怠惰」
FOX2
珍しく、夕食の直後俺達はブリーフィングルームに集められた。
何でも、至急隊員達に伝えることがあるそうだ。
「隊長。」
「……何だ。」
「なーんか今日調子悪くねぇか。今日出撃できなかったのがそんなに悔しいか?」
「……違う。」
麻田が俺の心境を無視したような発言を連発してくれる。たのむか...Sky of BlackAngel 第十話「スクランブル」
FOX2
「……という訳さ。」
話し終えるとたいとは席に背もたれた。
話はだいたいわかった。たいとたちはあの船で敵を倒したあと、私と一緒にヘリでそのまま基地に来て、そのまま仲間になるらしい。しかしまだ納得いかないことがある。
「あの、たいと?」
「なんだい。」
「なんで君達が水面基地にくるんだ?」
...Sky of BlackAngel 第九話「兵器?」
FOX2
ヘリという乗り物の中は意外と広い。中には私とパイロットだけだ。足元を見ると、そこには黒く細長い鉄の箱がある。何が入っているかは分かる。これで敵を倒す。するとスピーカーからパイロットの声がした。
私はヘリの窓から海を見下ろした。司令の部屋のテレビで見た船が少しずつ近づいてきた。
◆◇◆◇◆◇...Sky of BlackAngel 第八話「黒い刀」
FOX2