ブックマークした作品
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たしかに、頭の中で声がした。サナギちゃんの声のようだった。
リンちゃんは、凍りついたようにそこに立っていた。
すると、不意にすごい眠気が襲ってきた。まるで、立っていられないくらいに。
「な…なんで?…」
彼女はその場に座りこむようにして、目を閉じてしまった。
さっき聞いた“開けちゃダメ”という声を、...玩具屋カイくんの販売日誌(257) 一夜が明けて
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ベッドに横になったまま、リンちゃんはいつの間にか、眠り込んでしまっていた。
「あ、寝ちゃったか。うへ、服も着替えてないや」
身を起こして、部屋の時計を見る。
「あれ?」
リンちゃんの泊まっているホテルの部屋には、机の上にデジタル文字の時計がついている。
でも、その時計に文字は出ていなかった。
「時間...玩具屋カイくんの販売日誌(256) ホテルの夜 ~その3~
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運ばれてきた食事を、夢中で食べるリンちゃんを尻目に、サナギちゃんは考え込んだ。
ベニスズメさんの伝言が書かれたメモに、じっと見入っている。
「どうしたの。冷めちゃうよ。早く食べなよ」
早くもデザートの皿を引き寄せて、サナギちゃんに声をかけるリンちゃん。
彼女は言われて顔を上げたが、ふたたび小首をかし...玩具屋カイくんの販売日誌(255) ホテルの夜 ~その2~
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「お食事をお持ちしました」
ワゴンの横のボーイが、うやうやしく頭を下げて言う。
廊下に飛び出そうとしていたサナギちゃんは、出鼻をくじかれた感じで立ちすくんだ。
「失礼します」
ボーイはそう言うと、部屋の中にワゴンに乗った夕食を運びこみ、うやうやしく一例して部屋を出ていった。
「うわ。すごいよ、これ」...玩具屋カイくんの販売日誌(254) スタジオでの出来事 ~ホテルの夜
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スタジオでの3日目の夜。
ここで仕事をしていることを知らないはずの、ミクさんからメールが来た。
リンちゃんと相棒のサナギちゃんが、首をかしげ、顔を見合わせているところに…
また、部屋の電話が鳴った。おずおずと、リンちゃんが受話器を取る。
「あ、ベニスズメさん? はい。え?」
さっきと同じように、何か...玩具屋カイくんの販売日誌(253) やっぱり帰ったほうが… ~スタジオでの出来事 5
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ハミングスから発売される、新商品の「リンリン・はっちゅーね」。
その商品宣伝の「プロモーション・ビデオ」の撮影を、スタジオにこもって続けさせられている、リンちゃん。
ついに3日目の夜。「きょうもここに泊まろうか」と、相棒と話しているところへ…
泊まっている部屋の内線電話が鳴った。
「はい。ええ、リン...玩具屋カイくんの販売日誌(252) リンちゃん、家に帰りなさい ~スタジオでの出来事 4
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「それで、その朝の10時過ぎまで、ヒュンダインさんを待ってたんだ」
リンちゃんは続ける。
「ふうん。で、一緒にビデオに出てくれたわけ?」
レンくんが聞く。
「うん!一緒に、ちょっとからむ感じでね。楽しかったよ」
リンちゃんは、ニコニコして言う。
「私とサナギが演奏してると、ドラムの影から急に、あの人...玩具屋カイくんの販売日誌(251) リンちゃんの3連泊! ~スタジオでの出来事 3
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「ふうん。それで、日曜の夜もそこに泊まったわけか」
レンくんはそう言って、自分もクッキーに手を伸ばした。
「でも、お前それで、月曜の朝には、うちに帰ってこなかったじゃないか」
リンちゃんはそう言われて、バツの悪そうな顔をした。
「うん。帰ろうと思ったけど。明け方になって、起きて帰る支度をしてたら」
...玩具屋カイくんの販売日誌(250) コラボの魅力!? ~スタジオの出来事 2
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リンちゃんの話をリビングで聞いていたレンくんは、思わず聞き返した。
「泊まっていけ、って…? そんなに、大げさな仕事だったの?」
リンちゃんは、口をとがらせて答える。
「うん。そこのスタジオに入ったのが土曜だったでしょ。アタシもサナギも、けっこう乗ってやってたからね」
そういって、コップのミルクを口...玩具屋カイくんの販売日誌(249) スタジオでの出来事
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4日ぶりに、わが家に帰ってきたリンちゃん。
心配していた兄のレンくんも、とりあえずホッと安心。
ちょうど両親とも出かけていたので、レンくんはリンちゃんを連れてリビングにおりてきた。
何となくお腹がすいている様子で、彼女はレンくんの出したクッキーを食べながら…
この数日の次第を、話し始めた。
それによ...玩具屋カイくんの販売日誌(248) リンちゃんと、紅スズメ
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紙魚子さんの話を聞いたりりィさんは、首をかしげて腕を組んだ。
「ふぅん、不思議な、面白い噂ね。でも、仕事で一緒に組むと、必ずヒットするなんて…」
彼女はちょっと身を乗り出して、ニコッとした。
「クリエイターの人なら、ちょっと興味が沸く話ですね」
紙魚子さんは、ちょっと驚いたように目を見開いた。
「あ...玩具屋カイくんの販売日誌(247) クリエイターなら気になる…?
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ちょうど、お客さんも途切れているので。
紙魚子さんと、りりィさんはカウンターを挟んで、話に熱が入っている。
「吸血鬼?それ、どういう事なんでしょう」
りりィさんの問いに、意味ありげにうなずく紙魚子さん。
「もちろん、例えですよ。ホントに血を吸う訳でもなくて」
そう言って、彼女はお店の中の、いろんな雑...玩具屋カイくんの販売日誌(246) 大ヒットと、紅スズメ。
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●いま、世の中を何となく賑わしているコトがあります。
いわゆる「アイスバケツ・チャレンジ」です。
アメリカから広がっている、ちょっとした「パフォーマンス」ですね。
ALS(筋萎縮性側策硬化症)という病気について、広く知ってもらうことが目的だとか。
アスリートをはじめ、スターや政治家とか、著名な人が次...<タマネギのブー録(ブーログ)> ◆ ちょっと気になる、アイスバケツ・チャレンジ
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「星を売る店・上海屋」にやってきた、ニコビレの紙魚子さん。
「ここ、座ってもいいですか?」
りりィさんの質問を聞いて、彼女は、売り場のカウンターの横にある椅子に腰掛けた。
「月光企画、についてですか?いま、あそこ、どこかと組んでやっているんですか」
メガネの縁をちょっと上げて、興味ありそうに聞く紙魚...玩具屋カイくんの販売日誌(245) 紙魚子さんの月光企画の話
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<Dear My Friends!第2期 第4話 謎の三人組>
(夕方 クリプトン王国とインタネ共和国の国境付近 ヴェロス峠)
クリプトン王国全土で使える“馬車”で移動していたテルのパーティーは途中ランチ休憩を挟んだ物の、旅は至って順調で、馬車の歩みを止めるような問題は全く起こらずに、クリプトン王...Dear My Friends!第2期 第4話 謎の三人組
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<Dear My Friends!第2期 第9話 心の整理>
(午後6時頃 インタネ共和国内 城塞都市クリアン 最高裁判所・食堂)
結局、ヤマト国に行く前に、当初考えてなかった“様々な問題”が出てきてしまったので、休憩と食事も兼ねて、最高裁の食堂で食事を取りながら、全員で変更点を挙げてみる事になり...Dear My Friends!第2期 第9話 心の整理
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<Dear My Friends!第2期 第36話 過去への出発>
(ヤマト国 オーエド地区 アキバ ベースキャンプ『デンカガイ』)
ルカ姫、イア、チンシャンの一行は結局、あれから近場を回って、ルカ姫が好きそうな所に寄り、女子会的に楽しんで、早めに帰ってきたのでした。
ルカ姫:旅先での思い出はこれ...Dear My Friends!第2期 第36話 過去への出発
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●仕事が雑貨関連なので、インテリア雑貨やキャラクター雑貨などに、よく触れる機会があります。
そして、たまに、いわゆる「フィギュア」…造形物の作品を見ることがあります。
かつては、インテリアとフィギュアというと、なかなか共通点は、見つけにくいものでした。
でも、さいきんは「大人向けのキャラクター」とか...<タマネギのブー録(ブーログ)> ◆ フィギュアのジオラマの中の、夕日
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<Dear My Friends!第2期 第35話 この国の宿>
(ヤマト国 アラヤド区 アラヤド民間娯楽施設『カンラクガイ』周辺の一般ホテル内 宿泊部屋)
一行は少し大きめの4人部屋にチェックインし、部屋に到着した。部屋は、なぜか、和風だった。
この時代になっても、宿泊部屋の様相は、それほど変...Dear My Friends!第2期 第35話 この国の宿
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れおんさんのいる「ハミングス」1階のカフェ、「カフェ・ドナ」で。
ミクさんのはっきりとした言葉を聞いた、オサカモトさんは、黙って彼女の顔を見つめていた。
しばらく、2人は静かに見つめ合っている。
やがて、オサカモトさんは口元に少し、笑みを浮かべて、ミクさんとれおんさんに言った。
「わかりました。あな...玩具屋カイくんの販売日誌(244) “はっちゅーね”と、不思議な世界
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●この間、休みの日でしたが、久しぶりに「停電」を経験しました。
CDプレイヤーをかけながら、何か物を書いていたんですが…
フッと、音が途切れて。「あれ?」と思ったら、他の部屋の電気系のものが、気配がなくなってる(笑)
ブレーカーが落ちたかと思いましたが、そうではありません。
「ひょっとして、停電?珍...<タマネギのブー録(ブーログ)> ◆ 不意に来た!「停電」
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「せっかく、いろいろ考えていただいて、残念ですけど」
ミクさんは、そう言って、笑った。
「は?」
オサカモトさんは、いぶかしげに彼女を見返す。
「どういう意味ですか?」
2人の間に、少し、気まずい空気が流れた。
ミクさんがさりげなく、でもハッキリと言い放ったので、れおんさんは思わず2人の顔を見やる。...玩具屋カイくんの販売日誌(243) ミクさんと“はっちゅーね”
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<Dear My Friends!第2期 第34話 カンラクガイ>
(ヤマト国 アラヤド区 アラヤド民間娯楽施設『カンラクガイ』)
ラーメンをすすった会食も終わり、夜になって移動したのは、シンジュク区改め、アラヤド区として今も民間に解放されている地区の、民間のためのアソべる場所が集ま...Dear My Friends!第2期 第34話 カンラクガイ
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●このごろの漫画やアニメの作品を見てて、思うんですけれど…
もうちょっとブームは落ち着きましたが、「進撃の巨人」にしても。
この間、1クール目の放送が終わった「シドニアの騎士」でも。
その、お話の“設定”が、けっこうシビアなものが多いですよね。
そのどちらもが、人類が滅亡の危機の淵に立たされてて…
...<タマネギのブー録(ブーログ)> ◆ 「淡々派」と「情熱派」。活路はどちらに??
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れおんさんたちのいる「カフェ・ドナ」にやってきたのは、ミクさんだ。
「お待チシテマシタ。あ、ご紹介します。こちら、ミクさん。“はっちゅーね”のドールの、生みの親デス」
れおんさんは、彼女をオサカモトさんに紹介した。
新商品の“リンリン・はっちゅーね”で、いま一緒にコラボをしているけれど…。
ミクさん...玩具屋カイくんの販売日誌(242) ミクさんと“リンリン・はっちゅーね”
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(前話末文より)
チンシャン:名前とやったことだけになるが、その『カリマ』という博士が、我々、テイマーやギアを研究開発し、そして、この国や我々近隣国を巻き込んだ大乱を引き起こすように政府に力を与えた、全ての『元凶』。そう言い伝えにあるからだよ。その運動が、アキバから始まったそうだ
ルカ姫、イア:え・...Dear My Friends!第2期 第33話 カリマ博士
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「ここ、お料理がいつもおいしいですのね。わたくし、時々利用してます」
「オゥ、そうだったんデスカ。アリガトウゴザイマス。うちのシェフのソラさんは、ウデは確かなんですヨ」
オサカモトさんの言葉に、れおんさんは笑いかける。
れおんさんのいる会社、ハミングスの1階にあるカフェ・レストラン「カフェ・ドナ」。...玩具屋カイくんの販売日誌(241) リンちゃんは私たちが!
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<Dear My Friends!第2期 第32話 思い出作り>
マカの行動は実に早かった。一国を半ば制圧する勢いのある“一軍”である“テイマー軍”を、たった1週間で隣国に引き揚げさせてしまったのだ。無論、移動が厄介な食料、機材はそのまま放置され、搭乗型ギアや無人ギア等は、テイマーのための再起動を...Dear My Friends!第2期 第32話 思い出作り
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●わりと映画館に行くのが好きで、足を運ぶほうです。
まぁ、世の中を見ると、ビデオとかDVDで自宅で済ましてしまう人も、多いようですけど。
でもそんななか、最近は映画界でもヒットがありましたね。
アナ雪こと、ディズニーの「アナと雪の女王」の大ヒットです。
世界的にもヒットしましたが、日本では特にすごい...タマネギのブー録(ブーログ) ◆ アナ雪、そして映画館の楽しさ
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<Dear My Friends!第2期 第31話 悲しみの取引(後編)>
(ヤマト国 オーエド地区 アキバ)
アキバは、今でも、闇市やギアのパーツなど、商業が盛んな区域もあるが、テル達が向かったのが、正直“物騒”な区域の方である。無論、チンシャンの一声でテイマー、兵士、無人ギア、全部が退散してい...Dear My Friends!第2期 第31話 悲しみの取引(後編)
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