タグ「鏡音リン」のついた投稿作品一覧(31)
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外からは暖かな日の光が差し込み、その部屋にはマスターが本をめくる音だけが響いていた。紙に並ぶ文字を追う目をふと下に向ければ、膝の上には双子の寝顔がある。右にはリン、左にはレンの頭が乗せられ、静かな寝息をたてていた。
「『春眠暁を覚えず』、って所か。そろそろ春の季節かな」
先刻まで話をしていていつの間...背中合わせ
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腕を伸ばし差し出したのは
それなりに綺麗に包んだ袋
黄色の水玉模様の小さな袋に
結んだリボンは君の好きな色
「先月のお返し」と
つい気恥ずかしさから
素っ気ない言い方になる
それでも君は笑って
「ありがとう」と言う
とても嬉しそうな表情で...気持ちを込めて
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いつもと変わらない朝―少なくとも、寝起き直後のマスターはそう思っていた。
「………なに、あれ?」
マスターの疑問に、返事をする者はいなかった…いや、出来なかった。テトはただ苦笑を浮かべ、リンは嬉々とした眼差しでレンに目を向けていた。当のレンはというと、部屋の隅で丸くなって落ち込んでいる様だった。頭に...たまには甘えてみて
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白が降り注ぐ景色、すべてがただ一色に染まってる。地面も空も白に包まれ、音さえも吸い込まれた様に世界は静寂だった。
その中をキシキシと足元の雪を踏みしめ、白い息を空に吐きながら歩みを進める人物がいた。黄色の髪に落ちた雪を気にする様子もなく、首に巻かれた青いマフラーを大事そうに着込んでいる。
「………」...白しかない世界で
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おかしいのは分かってる
今日は自分も誕生日なのに
でも変に思われても
それでも祝いたかった
君と一緒に生まれた日を
君が生まれてきたこの日を
マスターやテトさんには
たくさん祝って貰ったけど
僕は君の誕生日を
まだ祝ってないから...たとえ、同じ日でも
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炬燵で暖を取りつつ、レンは上に置かれた篭から蜜柑を一つ手に取る。
この炬燵はここ最近、急に寒さが強くなった為にマスターが引っ張り出した物だ。
「今年は積もるかもな」なんて言ってのを思い出しながらも、彼としてはどっちでも興味はないらしい。
「レ~ン~…」
そう名前を呼ばれて視線を右に向ければ、足どころ...今、この時だけ
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自宅の前で顔に浮かぶ汗を拭い、走った為に乱れたスーツと荒くなった息を整えた。
一度だけ深呼吸して、目の前の扉のドアノブを掴む。
扉を開いて自宅の中に入って、レンは帰宅を告げた。
「ただいま」
「お帰りなさい、レン!」
すると間を置かずに、部屋からリンが姿を現した。
小走りで駆け寄り、レンの帰宅を笑顔...【新婚みね】一秒でも長く、㎜でも近く【音坂さん】
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オレンジ色の光が街並みを照らし、遠くでは烏の鳴き声が響き渡っていた。
伸びる影を背に、テトとマスターは並んで歩を進める。
「結構、遅くなっちゃったね」
「マスターが、物一つ買うのに悩みすぎなんです」
そう言って、テトは呆れた顔をマスターに向けた。
彼女の両手には、大きめのビニール袋が一つずつある。
...【飴玉】仕返し【後日談】
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ベッドに横たわる君に
僕は笑顔で覆い被さる
羞恥心から顔をそらせば
引き戻して口付けをする
リビングでした時よりも
甘く深く濃厚な口付けを
舌で口の中を好きに弄る度に
甘い吐息と声が静かに漏れる
ひとしきり楽しんだ後に口を離すと
赤い顔で瞳に涙を浮かべる君がいて...【飴玉】もっと見たくて【予告?】
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一緒に座りながら感じる
君の隣に居られる幸せを
横顔を見ながら感謝する
僕の隣に居てくれる君に
視線に気付いて僕に向き
君は笑顔を見せてくれた
それが余りにも可愛くて
僕は優しく口付けをする
君は恥ずかしそうな顔をして
その行為を受け入れてくれた...【新婚みね】僕は君が。【音坂さん】
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「ただいま…」
疲れの混じった声で帰宅を告げるが、返事が返ってくることはなかった。
両親は共働きの為、家にいないのは当然である。
しかし先に帰ってる筈の人物からの返事がない事に、レンにとって予想外であった。
「リン、いないのか?」
先程より声量を大きくして双子の姉を呼ぶが、やはり返事はない。
とりあ...【学パロ】どうして君を【鏡音】
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「Trick or treat!」
「………………」
ソファーに座ってテレビを見ていたレンは、いきなりの事に言葉を発せずにいた。
「反応薄いなぁ…」
「いや…、やぶからぼうに言われても困るから」
膨れっ面なリンに対し、レンは冷静に意見を述べる。
そんなレンに、リンは説明するように言った。
「今日はハ...Trick and treat ―お菓子も悪戯も―
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ベランダに干された洗濯物が風に吹かれ、空からは暖かい陽射しが降り注いでいた。
そんな静かな空間に、台所から聞こえてくる物音がやけに響くように聞こえる。
「ん~…うん、バッチリ♪」
味見を終えたリンは、鍋にかけていた火を止めてそれに蓋をした。
使った道具類は既に洗われているため、周りの汚れを拭き取るだ...【新婚みね】待つ寂しさ【音坂さん】
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「テ~トさん♪」
そう言ってリンが、取り込んだ洗濯物を畳むテトに呼びかける。
テトは手を止めて、リンの方に目を向けた。
目の前にいるリンの顔には満面の笑顔があって、後ろにはレンもいた。
「どうしたの?二人して」
「えっとね………」
尋ねれば、リンは笑顔のまま言葉を濁す。
後ろで呆れた様子のレンを窺い...「おめでとう」と伝えたかったので
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少しばかり広い部屋に、時を刻む時計の音だけが鳴り響く。
時刻は深夜の一時前、日付が変わってもうすぐ一時間が経とうとしている。
そんな時間にテトは何をするでもなく、ただ帰り人を待っていた。
すると外から小さな足音が聞こえきて、それが段々と近付いてくる。
それがドアの前で止み、鍵を解く音が響いた。
そし...家族の形
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暗闇が支配する空間
そこにあるのは
ガラスの壁が隔てるように
座り込んで涙を流す少女
と
壁を背に立ち尽くす少年
想いだけがすれ違って...A wish and thought -③- ~重なる想い~
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気が付けばそこにいて
見慣れた空間を見回して
ゆっくりと歩を進める
歩く先には光はなく
ただただ黒い世界
そして行き着く先には
道を遮るガラスの壁
そして僕は
背中を預ける...A wish and thought -②- ~伝えられない~
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(暇だなぁ…)
そう思いながら、レンはテレビを眺めていた。
内容は頭に入っていないらしく、ボーッとした表情からそれが伺える。
現在レンは双子の姉と共に、留守番の最中だった。
当の家主であるマスターは、年長のテトと一緒に買い物に出掛けている。
時計を目にやっても過ぎた時間はほんの30分、帰ってくるのは...飴玉より甘いモノ
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目を開いたそこは
真っ黒な世界
深い深い闇
上も下も
右も左も
判別できない
黒しか存在しない空間...A wish and thought -①- ~伝えたい~
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休憩室にあてがわれたベンチに、レンは腰を落とした。
先程目の前の自販機で買った缶コーヒーを開け、喉に流し込む。
時計を見れば、時間は三時十五分を指していた。
もう少しで仕事が終わると考えると、自然と頬が緩んだ。
「だらしない顔だなぁ」
その声の方にレンが顔を向ければ、青い髪の青年が笑いながら立ってい...【新婚みね】やる気の源【音坂さん】
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月もない夜の景色を眺めながら、暗い空間にマスターは紫煙を吐く。
暫くそうやっていると煙草の明かりに誘われたのか、小さな光が揺れながこちらに飛んできた。
指を軽く差し出せば、光は指先に止まった。
「こんな街中で、見れるとは思わなかった…」
そう小さく呟いて煙草をくわえ、再び煙を吐く。
「マスター、何し...生きてるいう事
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朝日が差し込む早朝、ある家の中から、慌ただしく動き回る音が響いた。
「わあぁっ!ちょっと待って!」
鍋が吹き零れそうになるのを見て、リンは慌てて火を止めた。
「ふぅ…」と一息ついて、リンは全ての料理の出来上がりを確認する。
「うん、今回もばっちりね」
今でも要領よく出来るわけではないが、以前より上達...【新婚みね】いつもの幸せ【音坂さん】
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「レ~ン~…」
「なに?リン」
床に寝転がって曲を聴いていた私は、片方のイヤホンを外して話をきりだした。
「頭、重いんだけど」
今、私の背中には双子の弟、レンの頭が乗せられている。
視線は私に向けているみたいだけど、その表情は伺えない。
「どいてくれない?」
「いいじゃん、減るもんじゃないし」
そう...日溜まりの暖かさ
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夜空に浮かぶ月が、淡い光で静かな街を照らしていた。
今いる廃ビルの屋上も、月明かりで照らされている。
そこで僕は、右手に包丁を持ったリンと対峙していた。
今のリンは、ウィルスに侵されている。
普段から整えられた髪は少しボサボサで、服装も乱れて汚れていた。
リンはユラユラとした動きで、クスクスと時折笑...月夜に狂気と血を
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月夜を見上げながら思う
この世界のつまらなさを
疾る雲を追いながら思う
この世界の醜さ愚かさを
神がいるのなら
この世界を救ってみせろ
悪魔がいるのなら
この世界を滅ぼしてみろ
僕は何も望まない
僕は何も願わない...ただ望むのは
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僕らは二本の線
同じ向きに
同じ角度に
決して交わらない平行線
どれだけ同じ時間を過ごしても
どれだけ隣同士でいられても
交わることは許されない
いつまでも伸び続けて
同じように線は引かれて
交差することは叶わない...平行線 -Parallel lines-
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「マスター、今日のご飯はなぁに?」
そう言って、キッチンで夕飯の支度をしているマスターのズボンをリンは引っ張った。
マスターは包丁を持つ手を止め、リンを見下ろしながら答えた。
「もうすぐ出来るから、少し待ってね。向こうでレンとテトさんのお手伝いしてくれる?」
リンは元気よく「はーい♪」と返事をして、...【時期ネタ】些細なことが【土用の丑の日】
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僕の後ろにに居るのは双子の姉
私の目の前に居るのは双子の弟
どっちが上とか意識した事はないけど
どっちが下とか意識した事はないけど
時々こうやって引っ付いて甘えてくる彼女を見て
時々こうやって引っ付いて甘えている自分を考え
自分が兄みたいだと思う事もある
自分が妹みたいだと思う事がある
でも頼られる...想い×すれ違い
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時々寂しくなる
あまり口にしないから
こうやって側で並んでも
貴方が遠くに感じる
我が儘なのかもしれない
今でも幸せなのに
それでもやっぱり
言葉にして欲しい
俯いて目に入るのは
貴方の長い黒い影だけ...温かな手
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七夕かぁ…、どうして女の子はこういう行事が好きなんだろう?
鼻歌を歌いながら、笹…だっけ?あんな長い茎に葉が生えただけの植物を嬉しそうに準備して…。
今日は7月7日で、あの笹に短冊っていう紙に願い事を書いて結ぶと、願いが叶うらしい。
確か一年に一度………
「ねぇ、リン。誰と誰が会える日だっけ?」
「...星に君を願う
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