ブックマークした作品
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貴方のことが、好きでした。
世界がどれだけ残酷でも、どれだけ私がこの世を生きていくのに不向きな性格でも、ただ一人。あなたがいれば、もうそれだけで良かったんです。
貴方の明るく澄んだ声を聞くと、一日良いことが起こるような気がしました。
貴方が私に向かい笑ってくれるだけで、涙が出るほど幸せで満た...最愛の貴方に
寒桜
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『魔女狩り令』を発令してから、かなりの時間が流れた。
いまだに、ジェルメイヌやエルルカは捕まらない。それどころか、有益な情報すら掴めずにいた。
一体、魔女達はどこへ行ってしまったのだろうか。もしかしたら、我々の想像よりも遠く離れた.....そう、蛇国くらいまで逃げているのかもしれない。
王で...『魔女狩り令』と王と魔導師
亜龍
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ある晴れた日の昼下がり。
私はグーミリアに修行をつけていた。彼女はまるで乾いたスポンジが急速にたくさんの水を含むように魔法を覚えるのが早くて助かる。しかも折り紙つきの真面目さでコツコツと丁寧に基礎から固めていく。この調子なら近い将来に二人でクロックワーカーの秘術を使い、ルシフェニアの崩壊を防げるかも...夢と欲望と現実
ナユ
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──侍女長が死んだ──
私は、家に来たアネさんに、そのことを聞いた。革命軍の会議で、マーロン国王カイルから、告げられたらしい。
「じ、侍女長が……」
声が、体が、震える。
心臓の音がうるさい。
「死因は、ナイフの刺し傷だったそうよ」
だから、私のせいではない……とでも言うように、アネさんは私の背中を...残サレタ者
亮也
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ある春の始めのこと。とある国の王宮で、王女様は呟いた。
「__今日のおやつはなにかのう…」
今日は王女付きの使用人の一人が、街に買い出しに行っている。その使用人は王女様__リリアンヌにとって特別な存在だった。そして、彼女は今無性にその使用人の作るブリオッシュが食べたくなっていた。
だが、今日...約束
リベル
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「あら、おやつの時間だわ」
この光景は何回目なのだろう。
(またダメだったか……)
悲惨な光景を前に泣いているリリアンヌ
「「もしも生まれ変われるならば……」」
……はっ!
そう言って僕は、小鳥と共に目を覚ました。
「朝…か…」
リリアンヌを救う為に、僕は幾度となくこの展開を繰り返している。
「今日...暴君王女更生物語
とろたく
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「…ふぁぁ…んー…」
朝が来た。いつもに比べてちゃんと起きれただけマシ。徹夜の仕事とかなくて良かった。なんたって今日は…
「休み…か。まぁ私なんて年中休みみたいなもんだけどね」
そんな自虐的なことを呟いて体を起こす。グーミリアは…ベッドに居ない。どうやらもうとっくに起きているようだった。朝早くから何...何も無い日
ライ
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教会の鐘がその大きな音を二回響かせた時、私はルシフェニア王宮の厨房にいた。
レヴィン大教会の鐘は、王都ルシフェニアンのどこにいても判別できる。この王宮にもすぐ何時かわかってしまうほど大きな音が届くので、教会の周辺で鐘の音を聞けば耳が壊れるのではないかと、この国にきた幼い頃の私は感じたほどだ。不思議な...もうひとりの
ゆるりー
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黄の国で双子が生まれたとの報せを受け、招かれたお城でアルカトイルとくだらない喧嘩をして外に飛び出したのがおそらく2時間前。
無我夢中に城下を駆け抜けエルドの森に入ったのがたぶん1時間前。
迷ってたまるもんかと昔読んだ童話のように、森に実っていたトラウベンの実を落としながら帰りの道しるべを作って...青の国の迷子様
アカメ
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「うわ、もうおやつの時間」
ガラン、ガランと手持ち鐘を振りながら、当直の修道女が施設内を歩き回る。
エルド修道院にも鐘楼は有るけれど、革命前の物資不足で鐘が取り外されてから、こうして時間を知らせに自分達で施設内をまわる様になったらしい。
私は礼拝堂の掃除を切り上げて食堂へ急ぐ。
焼きたてのブリオ...黄昏ト鐘ノ音
仔羊
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呑気に鼻歌を歌う我が子を眺め、俺--レオンハルトはため息を吐いた。果たしてこれから、一体どのようにこの子と接すればよいものか。そう考え、また一つため息を吐く。
今までは、ただ、いざという時の身代わりとして育ててきた。先日、思わず庇い、きちんと父と娘であること、彼女の盾になることを決意するほどには...赤イ鎧ノ女剣士ト悪ノ召使ノ灯火
寒桜
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“今夜十時に、部屋に来てほしい”
今日のおやつの時間、リリアンヌが食べ終わった皿を片付けている時、リリアンヌから羊皮紙の入った小瓶を手渡された。
そして、僕アレンは今、リリアンヌの部屋の前にいる。こんな時間に呼び出されたのは、初めてだった。
おそらく、他の人には聞かれたくない用事なのだ...王女の怖いもの
亜龍
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__平和だなぁ。
教会での一日の仕事を終え、休憩中の私は、夕陽を呑み込もうとしてオレンジ色が混じった海を眺めながら、しみじみと心の中で呟く。
波打ち際から少し離れた浜辺に座っているのは、波に巻き込まれてしまう恐れがとても高いから。座った後に「何か敷けば良かった」と思ったけど、遅かった。まあ、いいか。...diva of the beach
銀子
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誰が歌うか 子守唄を歌うか
それは私よ 白い蛇がそう言った
藪の木々と 大樹に祈って
私が歌おう 賛美歌を歌おう
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カタリという物音で私は目を醒ました。目をこすって私のいる部屋――使用人用の寝室――を見渡すと、閉め切っていたドアがほんの少しだけ開いている。ベッドか...駒鳥の私は愛おしいあなたに讃美歌を贈ろう
orca
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町を駆け抜ける少年たちの足音と大きな声。
その後ろを、赤髪のツインテールを大きく揺らしながら必死でついて行った。
「待つッス!! 私を置いてくなッス!!!」
幼い頃から、この口癖と性格はすでに出来上がっていたようなものだ。同い年の女の子が花を手に取り花冠を作る一方で、私は木の枝を手に取り男の子と戦士...アネさんと慕う理由
MaKi
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町はずれの小さな港。金髪の少女が祈るように佇んでいる。私は彼女に気づかれぬように背後からゆっくりと近づいた、月明りで輝く一本の刃を手に宿して。
私が彼女と出会ったのは革命が終わった後だった。港町での朝市からの帰り、修道院のそばで倒れている彼女を見つけた。少し意識があったのか何かをつぶやいたようだ...Nobody know
クロヤ
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一人の青年が修道院を訪ねて来た。
「クラリスさんはいますか」
初めて見る顔だ。自分よりも年上だろう。
「はい、私がクラリスです。どちら様でしょうか」
「ああ、貴女が」
青年がはにかむ。
「僕はエルフェゴート軍に所属していた者なんだけど、エインって知ってる?」
突然その名が出て驚く。もちろん知っている...過去からの手紙
くろ猫
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...嗚呼、やっと私も天に召される時が来たのね...。そう、もしも...
もしも、生まれ変われるならば...
...?あれ?
眼下に広がるのは、思い出の海。昔、アレンとよく遊びに来てたっけ...
っじゃなくて。どういうこと?私は確かにさっき、修道院長リンとして死んだはずだ。
これが走...王女に悪魔が憑かなかった日の話
亜龍
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今日から家族になる子だと言って父さんが連れて来た少年は金髪碧眼で典型的なルシフェニア人だった。キラキラとした髪に何かこの世界の闇を知っているかのような暗い瞳に私は単純に興味を持った。だから私は少年に手を出して
「私はジェルメイヌ、よろしくね」
と言った。
少年は少し悩む素振りをして私の手にその幼い手...Rêve éphémère
らぶ
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さて。
僕はなぜ、ワンピースを着ているのだろう。
僕はなぜ、ここに居るのだろう。
考えたくはない。
だが答えは分かっている。
それは、数時間前のこと___
「このくじが当たった者は、一日わらわのおもちゃじゃ!」
きっかけは、リリアンヌのそんな一言だった。
周りを見ると、シャルテットやネイたち、他...鏡写しの主従
春夏菫 VIOLet
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また今日も使用人が処刑されたらしい。なんでもリリアンヌのドレスの裾を誤って踏んづけてしまったとか。
リリアンヌが王女に即位して一年。私が知るだけでも相当の数の使用人がギロチンにかけられている。可哀想だなんて思わない。むしろバカな奴らだと思わず笑いそうになる。この我儘娘に取り入るなんて大したことな...近くにあった幸せ
カンラン
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ルシフェニア国王、アルスⅠ世が亡くなってから数週間後の事だった。
六歳になったばかりの王女リリアンヌと王子アレクシル。大人たちが後継者の話し合いをしてる中で、二人は反抗期らしきものを迎えていた。勝手に城を抜け出し、勉学や稽古は平気でさぼり、連日夜更かしばかりする。ただでさえ城の公務で疲労がたまって...真夜中のお化け屋敷
MaKi
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『悪の娘』を捕らえることができた。
それが確信となった途端、ジェルメイヌは膝から崩れて座り込んだ。
安堵と満足。そして、革命で命を落とした者への謝罪。色々な感情がまぜこぜになり、足から力が抜けた。
端から見ると怪我で意識を落としたと思われたのだろう。
近くに居たカーチェスがジェルメイヌの体を支えよう...革命のあと
ogacchi
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◇◇◇ -Who killed them?
この墓には誰も埋まっていない。
それでも、人はこの墓に花を供える。
ルシフェニア共和国、首都ルシフェニアン郊外の墓地。
集団墓地の端にある小高い丘の上へ、私は花束を抱えて登っていく。
樹で囲まれた丘の上にはルシフェニア王国最後の王女、リリアンヌ=ルシフェン...墓守の修道女
たるみや
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話をしよう。
その共同墓地は格好の遊び場だった。旧王都という街中では子供たちの遊び場は少なく、近場で人気のなく木々に覆われたそこは最適だった。
私が「彼女」に気付いたのは、ある日のこと。
かくれんぼの場所探しの最中、ある墓標の前の彼女を見つけた。その修道着は確かエルド派のものだ。
私は目の前の「彼女...悪ノ娘 黄のアンコールあるいはビス
万華
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あれは、父さんの禁酒に付き合い始めて一週間ほど経った頃だっただろうか。私はあの日、家の壁に開いた穴の修繕をしていた。粗末な私たちの家は、ときどき修繕してやらないと住めたものじゃなかった。不満がないわけじゃなかった。でも、それ以上に誇らしさを感じていた。あの家は、民衆を第一に考える父さんの心を映し出...
ビンテージ
カンラン
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私の目の前には一人の男が座っている。見かけは質素だが生地も仕立ても一級品な服に青い髪。画材道具の入った鞄を持っていれば旅行客に見えるとでも思ったのだろうけど、護身用の長剣にはばっちりマーロン王家の紋章が入っている。……というか、忍ぶ気が全くないんじゃないかこの人。
「好きなものを頼んでくれて構わな...青ノ妹
粉末緑茶
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——始まりました、第1回グルメショー!
本日のゲストはジェルメイヌ・アヴァドニアさんです!拍手ー!
——そして給仕係はリリアンヌとアレンにお願いします
「納得いかん!なぜわらわが給仕係などせなならぬのじゃ!それもこんな小娘相手に!」
「あらあら、あんたも小娘でしょ、王女様?」
「わらわに向かってなん...グルメショー
くろ猫
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春真っ盛り。空は青く草の匂いが心地いい。
…ここはどこだろう。迷った。春の陽気につられてふらふらと歩いているうちに、どこかの庭に迷い込んでしまったようだ。
あ、蝶々。追いかける。
いかんいかん、こんなことをしているから大好きな家族ともはぐれてしまうのだ。急に心細くなる。
「可愛い!どこから迷い込んだ...茶のアントラクト
くろ猫
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「ブリオッシュを作りたい!!」
「……はい?」
あまりに唐突なことだったのでつい変な声を出してしまった。ブリオッシュを作りたい?リリアンヌが?
「なんじゃ変な声を出しおって。なにかおかしなことでも言ったかのぅ?」
リリアンヌがムッとした顔で僕に訊く。
「い、いいえ!申し訳ありません、突然のことでした...君と私のブリオッシュ
ゆうとぴあ
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