ブクマつながり
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振り返った瞬間、アームが飛び散る様に剥がれ落ち、黒いBSがその場に崩れ落ちた。
「…お前…!レンチ女!何で…?!」
「全ては奇跡の名の下に…。」
「36点の多重間接型構造、重接続ポイントは両肩、解体ポイントは鎖骨点による
交差接続…合ってる?!」
「正解だ!」
地面を蹴るタイミングはほぼ同じ、なら...BeastSyndrome -59.ドライバーと毒りんご-
安酉鵺
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ドアを開けて、目に飛び込んだ光景を見て、脚が無意識に密を蹴り飛ばしていた。礼儀?常識?知るか!そんな物!それから目の前の状況を飲み込んで頭の中で整理するのが精一杯だった。悔しさと怒りと驚きと愛しさと、感情がいっぺんに噴き出して頭がパンク寸前だった。だから考える前に蹴ったんだろうけど。
「…何してんだ...DollsGame-105.クリムゾンローズ-
安酉鵺
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バットが姿を消して【TABOO】は分裂状態になっていた。主だった奴等は菖蒲の元【Yggdrasil】に協力体制を取っているが、一部では不安を理由に離脱する者、【MEM】に捕獲された者、助かった奴等からBSを密かに治療して欲しいと頼みに来る者、少しずつ綻びが生まれていた。
「使土?」
「ごめん、俺、先...BeastSyndrome -77.亀裂の狭間で-
安酉鵺
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報告も大体終わったし、何と無く疎外感を感じてたので部屋を後にして家に戻る事にした。広々とした高級マンションは羨ましいがどうも性に合わない。所詮庶民なんてそんな物だと思う。
「嫌…っ!嫌です!私帰りませんから!絶対に嫌です!」
「ご両親が心配しますよ?駄々こねていないで戻りましょう,香玖夜さん。」
「...BeastSyndrome -54.踏んだり蹴ったり-
安酉鵺
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「ねぇ、待って、待ってってば!」
「着いて来るな、レンチ女。お前が居るとロクな事が無さそうだ。」
「私にはりんごって名前があるの!この辺り来るの初めてだから道判んないのよ!」
「はぁ…何処行きたいんだよ、案内するからとっとと其処行け。」
「もぉっ!そんなんじゃモテないわよ!女の子にはさっきのお兄さん...BeastSyndrome -58.銀の銃弾が呼ぶ者-
安酉鵺
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目の前のカードに段々とイライラして来た。飄々と笑ってるトカゲにはうっすらと殺意すら浮かんでいた。
「あんた…絶対何かしてるだろ?」
「とんでもない。」
「ババヌキでもボロ勝ちって有り得ないだろ!」
「それは君の頭が悪いからだよ。」
「あぁ?!ガキは黙ってろ!」
「ちょっと黙ってて!」
「お?やっと火...DollsGame-57.ルドベキア-
安酉鵺
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弾丸の様に逃げて出した子供達はあっという間にどこかに行ってしまった。何か家に居る時思い出すなぁ。
「あ、拳銃君、ねぇねぇ子供達居た?」
「見て無い…子供って変な所に居たりするしね。」
「お菓子に釣られて出て来ないかな?」
「持って無いよ。」
「じゃーんキャラメルクッキー!美味しいから猫君に作って貰っ...DollsGame-52.パセリ-
安酉鵺
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案内された衣装室で思わず声を上げてしまった。色取り取りのドレスや着物が森みたいに並んでいた。
「凄ーい!こんなに?!」
「た、確かに迷うわねぇ…。」
「かくれんぼ出来そうだな。」
「ここから向こうは着物で、こっちからドレスになってます。」
服に興味がある方では無いけど、こんなにドレスがあると流石にわ...DollsGame-95.ピナス-
安酉鵺
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流石にマントが熱く、重くなって来た。あの二人一体何時まで逃げるつもりなんだろう…?走り疲れてベンチで休んでいると、数人の子供がこちらを遠巻きに見つつ何やらコソコソ話してる。
「せーの…!それー!」
「飛んでけー!」
子供が持っていた風船を手放し空へ放った。蓄光塗料で絵が描かれた風船は暗闇にぼんやりと...DollsGame-130.シュロ-
安酉鵺
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足元も覚束ないまま、浬音は涙を零していた。彼が消えたドアから目を逸らす事無く、声を上げずただ止め処なくポロポロと涙が流れていた。
「…どうして泣くんですか…?!あんな目に遭ったのにどうして…?!あの人と居たって
傷付くだけじゃないですか!」
「…るさい…。」
「え?…うわっ?!」
急に胸を強く押さ...DollsGame-86.カラー-
安酉鵺
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普段あまり体を動かさないせいか、それとも向こうの体力が桁違いなのかは判らないが…。
「つ…疲れた…。」
「何だよあの2人…特にウサギ野郎!IH級なんじゃね?」
「ちょぉーっと休憩!」
闇雲に追い駆けても得策では無さそうだ、こちらがイタズラに体力を削るだけ。
「少し策を立てる事を提案します。」
「…喋...DollsGame-24.フリージア-
安酉鵺
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放送にあたし達四人は固まっていた。冗談じゃないわ、帽子屋さん相手に戦うとか絶対無事じゃ済まなさそう。
「これ私達に不利過ぎじゃない?!花壇ちゃんとかどうなのよ?!」
「この際花壇と手を組めば安全ではないのか?」
「でもそれだと勝負にならないし…ゲームとして成立しなくなっちゃうんじゃない?」
「うーん...DollsGame-122.エレムルス-
安酉鵺
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箱と格闘してどの位時間が経っただろうか、一向に事態は動かなかった。
「少し休憩しては?」
「う~~…もうちょっとな気が…あいたっ!痛~…爪欠けたぁ…。」
「…っ大丈夫ですか?!」
嫌な予感はしていたが案の定だ。
「見せて下さい。」
「えっ?あの…そんな大した事じゃ…。」
「良いから手を出しなさい。」...DollsGame-56.銭葵-
安酉鵺
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一般客に紛れてても全く気付かれない。流石にあのジャージは印象が強かったんだろうか。楽が出来て良いけどこれでは課題にならないな…。そろそろアリエッタと合流でもしようかと携帯を出した所へさわさわと人の声が聞こえた。
「うぉ!あれ動画の花壇じゃね?!」
「お!マジだ!ちっちゃ!」
「ちょっと待って待って、...DollsGame-119.ジャーマンダー-
安酉鵺
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中断してしまった夕食は再開した物の、やはり皆食が進まない様だった。会話は無く溜息混じりだ。
「大丈夫かなぁ?浬音ちゃん、凄く辛そうだったけど…。」
「うん…ずっとあんな事言われて来たのかな?」
「何処の世界にもどうしようもない奴は居るもんだよね。見てよ、これ。」
ナチ君はそう言って置きっ放しになって...DollsGame-32.カンガルーポー-
安酉鵺
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停電から一夜明けて、いつもの様にロビーに人が集まって来ていた。だけど居るのは男だけで女性陣の姿は無い。人もいつもより少ない、ハレルが少し遅れて降りて4人が揃った時、近くに居たチェシャ猫にそれと無しに聞いてみる。
「何で女達居ないの?」
「あ、課題で移動して貰ってます。」
「課題?今居ない奴もそっちな...DollsGame-75.ランタナ-
安酉鵺
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病院の廊下を早足で歩く、本当は走りたい思いだけどそこは流石に我慢して。
「あれ?啓輔、もう着いたのか?昼過ぎになると思ってたんだけど。」
「朝一で飛ばして貰った…憐梨は?倒れたって大丈夫なのか?ほら、あいつ体力
そんな無いからさ…。」
「大丈夫だって。まぁ、入って入って、話は中でするからさ。」
含...DollsGame-76.花菖蒲-
安酉鵺
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照明や空調が復帰した。そう長い時間では無かったがやはりホッとする。
「あ、良かった~戻ったみたい。」
「この雷のせいかな?」
「台風来てるのか?」
「他の皆大丈夫だったのかな?ドア閉まっちゃったみたいだし。」
――ピンポーン…ピンポン!ピンポン!ピンポン!ピンポン!
「わわわ?!誰?!誰?!はいはー...DollsGame-69.金魚草-
安酉鵺
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毎度毎度課題を考えてる人の顔が見てみたいったら無いわ…。しかもあんな説明だけなんて!!
『人魚姫?それとこの足枷と何の関係があるのよ?』
『私も詳しくは…あ、最後にこのマスクはめて下さい。』
『こう?…ん?むぐぐぐぐ~~~???』
どう言う構造なのかマスクが取れなくなった。息苦しくは無いけど話せない...DollsGame-78.カポック-
安酉鵺
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「サウー?もぉ、急に出てっちゃって何処行ったのー?サウー?」
最近弟の様子が変、何が変なのかはよく判らないけど、時々すっごく手の込んだお菓子とかバリスタ施したカフェオレとか作ってるし、かと思えば落ち込んでたり、寝不足っぽかったり…。
「マイ?何してんの?こんな所で。」
「あ、居た!サウが急に出て行っ...DollsGame-90.ヘレニウム-
安酉鵺
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元々非常識なゲームだと思ってはいたが、戦って奪い合うだと?全く何を考えているんだ、冗談じゃない。これではプレートを大量に持っている浬音さんが格好の的にされてしまう!毎度毎度まとわり付いてる三月ウサギはこんな時に限って姿が見えないし…。
「ハレルヤさん!痛…待って下さい!痛いです!」
「失礼…。」
「...DollsGame-116.林檎-
安酉鵺
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浬音の体調が戻り、ゲームに復帰したのは倒れてから三日後の事だった。ロビーに降りて来た彼女はペコリと頭を下げて言った。
「皆さん御心配掛けました。」
「おかえりなさい。」
「お帰りー。」
しかし、顔色が少し白いと言うか、血色が悪いと言うか、いや、気のせいだろうか?考えるより計った方が確実だろうか?
「...DollsGame-50.ジャスミン-
安酉鵺
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当ても無くシャルロットと子供を捜していたが、影すら見当たらなかった。
「そろそろ暗くなるんじゃないのか?」
「う~ん…もしかすると迷子になってるんじゃないかな?他のスタッフも捜してる
みたいだし。」
確かロビーで見た子供は小さかった。大体2~3歳だろうか、そんな子供が迷子になったら相当心細いんじゃ...DollsGame-60.スターチス-
安酉鵺
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DNを決めたあたし達は2人を捕まえる方法を8人で相談してみる事にしたんだけど…。
「取り敢えず追い着けないのが問題だよな…。」
「足撃っちゃうとかは?ほら、モデルガンって結構痛いし。」
「却下に決まってるでしょ!」
全然纏まらない、そもそも知り合って間も無いので誰が何を出来るかも不明、協力するにした...DollsGame-25.フロックス-
安酉鵺
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部屋で久し振りに夜更かしをしていた。読み溜めていた本を片っ端から読んでいたら時計は夜の0時を差していた。筋肉痛は大分治まったけど、如何せんプレッシャーが凄いのよね…。夜更かししたら肌荒れするかも?だけど何か寝付けないなぁ…ラウンジでも見てみようかな?皆結構行ってるみたいだし…。ドアを開けて左右を確認...
DollsGame-98.弟切草-
安酉鵺
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昼過ぎにあたし達プレイヤーはラウンジに呼ばれた。途中で会ったハレルさんと一緒にラウンジへ降りると浬音ちゃんが居た。相変わらずの護衛付きにハレルさんが少し眉をひそめる。
「お帰りなさい、浬音さん。」
「お帰り~。」
「ただいま…で良いんですかね?」
「あはは、それもそうね。でも良いんじゃない?」
「じ...DollsGame-112.黄花コスモス-
安酉鵺
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アナウンスが終わるのと、客の歓声と、ほぼ同時に施設の照明が落ちて辺りが闇に包まれた。一瞬のざわ付きの後、非常灯がポツポツと点ったと思うと。能天気なチャイム音が鳴った。
「カーカカカカカ!ご来場の皆様、そして視聴者様!これは事故ではありませんので
ご安心を!只今より【DollsGame】最終課題をス...DollsGame-131.一人静-
安酉鵺
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――Q,この世で一番大切な物は何だと思いますか?
――A,お金だと思います。
「お先に失礼しまーす。」
「はい、お疲れー。」
間延びした挨拶をして店を出た。辺りはすっかり暗くなっていた。時間を見ると20時を過ぎている。軽く何か食って帰るか…。
「居たぁ―――!!ちょっと!!そこのチャラ男!!」
クラ...DollsGame-12.猿取茨-
安酉鵺
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パーティーは随分遅くまで続いてて、半分位の人は酔っていた。未成年だしお酒は飲んだ事が無いので料理を突きながらひたすらソフトドリンクだったけど、色んな人と話してみて楽しかった。少し疲れて壁際の椅子で休んでいるとメールが来た。
『少し抜け出せる?衣装部屋で待ってる。 鳴兎』
衣装部屋?頭に『???』がい...DollsGame-103.花海棠-
安酉鵺
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花壇を無事見付けたのは良いが何故三月ウサギが此処に居るんだろう?と言うか話し掛けてはまずかったのだろうか?まぁ悔やんでも後の祭な訳だが。
「痛たたた…頭ぶつけた…。」
「大丈夫ですか?花壇。女性に乱暴は感心しませんね。」
「してねぇよ…。」
「泣いてるじゃないですか。」
「それは…!その…。」
「あ...DollsGame-42.パフィオペディルム-
安酉鵺
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課題がクリアして、皆はそれぞれ愚痴ったり笑い合ったりしていた。だけどあたしは、目の前でまだ手を繋いだまま話してる2人から目を放す事が出来なかった。
「疲れたー…誰か水持ってないか?」
「あ、持ってますよ、どうぞ。」
「悪ぃ悪ぃ…。」
どうして手を放さないの?いつからそんなに仲が良くなったの?判ってる...DollsGame-81.アカネ-
安酉鵺
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夕食も取る気になれず部屋でぼんやりしていると、ノックと共にスタッフが呼びに来た。何処へ行くかは教えてくれなかった。俺は失格にでもなるんだろうか?
「こちらです、どうぞ。」
重々しい扉が開かれた。ソファに座っている浬音がこちらを少し見遣る。しまったな…こいつが証言すれば嘘がバレるか…?動きあぐねている...DollsGame-87.アヤメ-
安酉鵺
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何処から尾けて来たのか、ルイを気付かれない様に温室の外へと引き摺り出した。
「ぷはっ…!はぁ…ちょっと殺す気?!」
「静かに、気付かれるだろ。」
ここで騒がれるのは正直非常にまずい。気付かれたらどうなる事やら。だけど何処まで知ってるんだ?場合によっては誤魔化せるかな…。
「さっきの事なら別に言わない...DollsGame-99.キンリュウカ-
安酉鵺
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一週間があっという間に過ぎてとうとう課題当日になった。それぞれ別室でドレスに着替えて、今はメイクやアクセサリを整えている。
「ラビット様?どうしました?」
「や…やっぱり私…こんな可愛いの似合わなくないか?!」
「またそう言う後ろ向きな事を…。」
「わ、私は魔女って呼ばれてたんだぞ?!魔女がこんな可...DollsGame-101.山茶花-
安酉鵺
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「…理解不能…。あっつ…。」
自分の汗が顔を伝うのが判った。手紙の示す塔には直ぐ着いたが、入り口には内側から鍵が掛かっていて、かなりあからさまに非常階段の扉が開けられていた。嫌味な程照り付ける太陽の元、塔の外側を伝う様に設置された非常階段を昇っていた。昨日の嵐も鬱陶しかったがこんな時に快晴になるのも...DollsGame-80.群雀-
安酉鵺
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雨の中走った次は廊下走って、弾丸かよ?全く…。
「浬音!」
「…っ!放して!」
「走るな!落ち着けって!」
「鳴兎のせいだ!全部鳴兎のせいなんだから!変な事言うし、変な話するし、
よく解んない事いっぱいするから!熱でも出たらどうしてくれんの?!」
真っ赤になって涙目で文句を言い連ねて居たが、ヤバイ...DollsGame-71.クフェア-
安酉鵺
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機材倉庫のドアを開けると、夕方だと言うのにまだ蒸し暑い空気が吹いた。倉庫の中を見ると、隅の方で蹲っている姿があった。三月ウサギは慌てて駆け寄ると、ぐったりとした浬音を抱き起こした。
「…浬音!!」
「おい!居たぞ!」
「脱水症状起こしてるわ!誰かお水!早く!」
「医務室連絡して、タオルと氷嚢、それに...DollsGame-84.ハイドランジア-
安酉鵺
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突然現れた三月ウサギは泣いていた浬音をぎゅうっと抱き締めた。
「ふぐ…!ん~~~~っ!!んんんん~~~~っ!…ぷはっ…!」
「お、泣き止んだ。」
「…っの変態!!」
「痛っ…!」
手を解いた三月ウサギの脛にローキック…また地味に痛そうな。
「鳴…『三月ウサギ』さん、何してるんですか?こんな所で…。」...DollsGame-45.竜胆-
安酉鵺
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モニターと機材の山の中、キーを叩く音がカタカタ響いている。
「あ、お疲れー。」
「お疲れ様でーす。」
「昼間の反応どう?停電で規模縮小したから地味になっちゃったけど。」
「そうね、少し反応が薄い感じかな。コメントもちょっと少ないし。」
「ま、この辺は予想内だな。」
「あ、そうそう、報告入ってたんだ!...DollsGame-82.ルバーブ-
安酉鵺
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時々こんな話を聞く。『鍵を置き忘れてオートロックの扉閉めちゃったんだよね』正直言って冗談だと思っていた…が!
「暑い…。」
鍵は持っていたが上着のポケット、ついでに携帯も。暑いからと言って上着を脱いだのが間違いだった。もうサウナ状態の倉庫に閉じ込められてどの位経つだろうか、暑さで眩暈がして喉もカラカ...DollsGame-40.カタクリ-
安酉鵺
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翌朝、朝食の後に再びロビーに集められた。楽しみな様な、不安な様な…何とも言えない緊張感。
「はぁ~…いっそ誰か撃てとかの方がよっぽど楽。」
「それが楽なのは君だけだと思うよ。スナイパー。」
実際問題昨日みたいな恐い目には遭いたくない、そして出来れば得意分野が良い!そんな祈りを捧げてみた時鐘の音が鳴り...DollsGame-36.猫柳-
安酉鵺
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課題発表から3日、ラウンジで『人形』の5名が自然と集まった。昼食を取った後に皆でお茶でも、と言う鳳仙花の言葉に乗ったのだが…。
「はぁ~~~~~~~。疲れた…。」
「あたしも…。」
「4人共暗いよぉ?エステもあって可愛いドレス着れるんだからもっと気楽にすれば
良いのに。」
「気楽じゃ済まないわよ…...DollsGame-97.日々草-
安酉鵺
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すっかり日が落ちて辺りは暗がりになって来た。ブレイクコールが何人も出て、今残っているのは数人…。一般客を掻き分けながら浬音を探していた。
「花壇…良かった、無事で…。」
「鳴…ウサギさん…。」
「あれ?ウサギ?何で?花壇って帽子屋じゃねぇの?」
「え?二股?」
まずいな…しかし客に説明するのも面倒だ...DollsGame-127.紅花-
安酉鵺
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気が付けば呼び出した鳴兎を皆が囲んでいた。
「ちょーっとお話良いかしら?ウサギさん。」
「ご愁傷様。」
「よく判んないけど面白い事になってるみたいだね。」
「女性に傷を付けるのは感心しませんね。」
「紳士だと思ってたけど変態だったのね!」
「お前が浬音に噛み付いたのか?」
皆に迫られて流石にうろたえ...DollsGame-70.ピンクカーネーション-
安酉鵺
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ルール説明から30分位過ぎた。何はともあれHN…ここでは『DollsName』と言われる名前をそれぞれ登録する事になったんだけど…。皆複雑な表情を浮かべて空気は凄く重い。誰もが誰かが口を開くのを伺っていた。
「ちょっとちょっと、空気が重いわよ?まるでお通夜じゃない!」
「暗いです…。」
「あ…門番B...DollsGame-23.紫蘭-
安酉鵺
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早々と課題をクリアしてしまったのでチコリと2人でラウンジでお茶をする事にした。自分達がクリアになった後皆が飛び出して行ってしまったので心配していたが、甲高い声が時々他のプレイヤーのクリアを告げて居たので2人でホッとしていた。
「意外と順調みたいね、一時はどうなる事かと思ったけど。」
「まさか女同士で...DollsGame-43.アロエ-
安酉鵺
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自分に新しい家族が出来ると知って、改めて思った。一人になるのはとても寂しくて、恐ろしいと言う事、居るのが当たり前になって、突然消えるなんて考えもしないで毎日過ごして、だから失った時泣き叫ぶ。悲しくて、寂しくて、恐ろしくて…。夜になり、人気の無いラウンジは水を打った様に静まり返っている。微かな足音も聞...
DollsGame-93.君子蘭-
安酉鵺
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気のせいか、外が忙しない空気に包まれていた。足音や人の声が何度か聞こえる。明らかに面倒事っぽいんだよな…。嫌な予感がしつつドアを開けると、丁度ルイと出くわした。
「あ、フノオ君。ねぇ、浬音ちゃん知らない?」
「は?」
「居ないみたいなのよ、ハレルさんや皆で探してるんだけど全然…。帽子屋さんも
見な...DollsGame-83.著莪-
安酉鵺
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嫌味な程に良い天気!と言うかぶっちゃけ炎天下?うーん、まぁ夏だから良いか。
「バタフライさん!写真撮って良いですか?!」
「はいはーい♪」
「あ、私達もお願いします~!」
えへへへへへ~ちょっと芸能人みたいな気分♪それにしても、プレート何に使うんだろう?宝物って言うからにはどこかに隠したりとかするの...DollsGame-115.ルリジサ-
安酉鵺
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勢いで追い駆けたけど正直捕まえた所でどうしたら良いやら…。
「苦手なんだよなぁ…。」
確かに1億円は欲しいけどこの際参加賞でも良いかな…、そうだ、そうしよう、此処に居る分にはお金掛からないし参加賞で少し食い繋ぎつつアパート探せば…。そんな事を考えて居ると目の前に山吹の髪がふよふよと通り過ぎた。
「あ...DollsGame-38.柘植-
安酉鵺